全てに見放された瞬間、
孤独に押し潰されそうになるが、
どこかでやっと解放されたと思っている自分がいる。
そして、オーガズムに達したような快感を感じる。
この感覚を、私は勝手に「見捨てられ快感」と呼んでいる。
誰かに必要とされるたびに、
自分ではない何かを演じる苦しみがあった。
だからこそ、見捨てられることで、
「これが本当の自分だ」と錯覚して安心しているのかもしれない。
この快感は、たぶん幸せではない。
でも、それを繰り返すことで、
私は何かを確かめようとしているのかもしれない。
私と最後まで堕ちてくれるくらいの覚悟を持ってくれる人を、自分は努力をせずに求めようとしているのかもしれない。
人の人生を道連れにしてまでこの快感を得たいわけじゃないけど、この重さを受けとめて欲しいんだと思う。
ここまで見放されて、見捨てられることに快感を感じるのは、これで最後にしたい…
どうしても…
あと一歩が踏み出せない。
今更って感じだけど自分の人生を歩こうと決意した。
ただ思考が邪魔をして行動に踏み切れない。
「もう幸せになっていいんだよ。許してあげるよ。」
って何度も言い聞かせているのに、根深い死にたがり癖。心のどこかでまだ許しきれない誰かがいるみたい。
それはたぶん、
期待に応えられなかった私。
反社会的行動を取るしかなかった私。
どうしたらいいかわからなかった私。
うまく笑えなかった私。
愛されたいのに愛せなかった私。
でもね、何度も考えて、前を向こうとはしてるんだ。
諦めてただけの私ではないよ、もう今は。
ただ皆もう見捨ててると思う。
一緒に堕ちてしまった人もいたし、
遠巻きに非難する人もいたし、
面と向かって嫌味を言う人もいた。
離れて見守る人、
時折声をかけてくれる人、
そっとしておいてくれる人もいた。
まだ見捨てないで欲しい。
ここからが始まりだから。
幸せになりたいって、勇気のいることなんだね。
愛って、1番の幸せだね。
今までそれに気づかなかったよ…
まだ見ててね、どうしても…を超える時がいつか来るから、待っててね。
彼は光、わたしは暗闇。
彼の与えてくれる幸せが苦しかった。
ずっと暗闇の中を彷徨っていたのに、こんなにあっけなく幸せになってもいいのかと。
幸せになることを怖がるわたしに眩しい世界を沢山見せてくれた。
なのに、また、
暗闇にもどる。
やはり眩しすぎる光を浴びて、怖くなったようだ。
彼は引き止めなかった。
「今までありがとう」
幸せが離れるのもあっけなかった。
また暗闇を彷徨っていこうと思った矢先、わたしの胸のあたりに光が灯っていることに気づいた。
そっと胸に手を当てると何処からか彼の声が聴こえた。
「あなたはそのままで、十分、眩しい光」
これからわたしも光輝く、暗闇で。
私は「怪物」だ。
欲に負ける。
人の涙も笑顔もわからない。
人の好意、悪意すらも弄ぶ。
何を聞いても読んでもどこか他人事。
自分の人生すら他人事で、無責任。
息を吐くように嘘を吐き、
周りを騙し、
傍若無人に振る舞い、
振り回すだけ振り回して放置する。
いや、私は「人間」だ。
基本無欲。
映画や小説を観て泣く。笑う。
人の好意には純粋に感謝できる。
悪意に傷つく。
人が悲しんでると自分のことのように胸が痛くなる、何もできないことが悔しい。
息を吐くように素直な言葉を伝え、
周りのおかげで生きていることに感謝し、
本当は風のように沢山の人と関わり、
生きている全ての人を大切に想いたい。
今日の私は怪物?人間?明日は?
そんなふうに裏表のある自分も受け入れて、楽しめたら、楽に生きれるだろうか。
怪物に呑まれている今、「人間になりたい」と心が叫んでいる。
両方ともきっと私で、今はそのままでいい。
ただ明日くらいは、人間であれたらいいな。
忘れたい。
君の残した物が、場所が、あたたかさが、残酷だ。
もう思い出さないと記憶をなくそうとするけれど、簡単に消えることはない。
何気ない生活のふとした瞬間、君の幻影に悩む。
食器棚の奥にある一度だけ使った陶器。
「大事な時にしか使いたくないから。」そう言ってたから、今も大事にしまってる。こだわりのある君を思い出す。
毎朝目に入る返しそびれた歯ブラシ。
キスする前はちゃんと歯を磨いてくれる。だらしないとこも清潔なとこもどっちもあったけど、、君の気遣いは当たり前に溶け込む優しいものだった。
箪笥の奥に見える渡せなかったプレゼント。
重いかなってタイミングを掴めず渡せなかったものがいくつかある。渡すのも自己満かなとか考えてた。そもそも君はプレゼント好きじゃないってわかってたし…
お互い好きだった海。
釣りをしてたら夫婦だと思われたのは笑い話だ。今でも時折衝動的に海に向かい、波の音を聴きながら海での思い出を反芻する。
初デートで行った喫茶店。
目の前を通ると甦る懐かしい記憶。お互い緊張しながら話してた。その時の胸の高鳴りと落ち着きのない感情も身体が覚えている。会って一瞬で信用できると思えたのは初めてだった。
ハグした時のぬくもり。
寝る前にぬいぐるみを抱くが、人肌には敵わない。あついあついとお互いに言いながらも、しばらくは離れずくっついていた。不器用な2人の愛情表現が唯一重なる時間だった。
幻影はいつ消えるのだろう。
ただ思い出すなら本心は消えることを望んでいない。
縁があればまた会える、なければそれまで。
忘れて。