孤月

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彼は光、わたしは暗闇。

彼の与えてくれる幸せが苦しかった。
ずっと暗闇の中を彷徨っていたのに、こんなにあっけなく幸せになってもいいのかと。
幸せになることを怖がるわたしに眩しい世界を沢山見せてくれた。
なのに、また、
暗闇にもどる。
やはり眩しすぎる光を浴びて、怖くなったようだ。
彼は引き止めなかった。
「今までありがとう」
幸せが離れるのもあっけなかった。

また暗闇を彷徨っていこうと思った矢先、わたしの胸のあたりに光が灯っていることに気づいた。
そっと胸に手を当てると何処からか彼の声が聴こえた。
「あなたはそのままで、十分、眩しい光」

これからわたしも光輝く、暗闇で。

5/15/2025, 2:44:57 PM