1年を振り返っても、大抵後半の出来事が沢山出てくるよね。
わたしの記憶力が低いだけなのかな。
#1年間を振り返る
今日はクリスマス。とはいえ年賀はがきを書く予定を立ていていた。他に予定がなかったから。
だのに。朝起きたらLINEが来ていた。
『今からって暇だったりする?』
ふざけるのも大概にしろよ。とはいえ大切な人なので、誘いは無下にせず受け取る。すなわち、わたしはチョロいということだ。
一時間で支度をして家を飛び出る。昨日風呂入ってから寝たら良かった、などという妄言は無限の彼方へ放った。今は五秒で決まった約束を果たさねばならぬ。
「あ、やっほー」
のんきに待っているのを見て、今までの怒りやら焦りやら、なんやら全部が吹っ飛んだ。あなたのご尊顔が見られるだけで、わたしはとうの昔から幸せです、とな。
#クリスマスの過ごし方
クリスマスイブの「イブ」ってイブニング(evening)のイブだと思うのだが
イブの夜って単語が通じる日本すごいな
#イブの夜
『ごめんなさい、わたしもう帰らないといけないの……!』
そう言いながら王子様の手を離して、出口を真っ先に見つけて駆けた───────
「お前、なんで舞踏会にいたんだ?」
継母は言った。わたしは城を出る前に12時の魔法が解けて、その瞬間を義姉に見つかってしまった。
「部屋の掃除と皿洗いを命じただろ。何勝手に舞踏会行ってんだよ」
ごめんなさい、としか言いようがない。いくら舞踏会に行きたかったとはいえ、仕事はきちんと済ましておくべきだった。いや、義姉に見つかってはならなかった。
とその時、コンコンとノックの音がした。聞くに、その舞踏会で靴を落とした人を探しているらしい。その靴の持ち主が、王子様のお気に入りの人だと。
「履いてみてもいいかしら?」
義姉は言う。
「いや履かなくても分かります。あなたの家で最後なので」
義姉の顔が明るくなった。わたしの顔は絶望に染まった。
#ベルの音
「お前の彼氏、クリスマスは友だちと遊びに行くらしいよ」
「え、まじで?」
元から一緒に過ごす気はなかった。クリスマスよりも、年末一緒に過ごしたかった。
けれど、けれどよぉ! なーぜ知らせない? なぜ? いいんだけどね、わたしはあなたにそう言ったし。
理屈ではわかっているのだけれど、なんだか解せないなあ。
#寂しさ