飛花

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8/1/2023, 2:54:24 PM

「寝取るとかサイテー」
友達が言った。彼女を取られたらしい。その、取った相手はわたしが嘗て大好きな人だった。
人間関係はぐちゃぐちゃになっていく。波紋が始まってしまえば、留まることを知らない。壁に届いた波紋は跳ね返り、また新たなところへ向かう。
温厚に、穏便に。誰もが願うこと、大抵上手くいかないけれど。人々はまた、嵐が去ることを根拠もなく願っている。




#明日、もし晴れたら

7/27/2023, 3:26:08 PM

神が本当にいるなんて、信じていなかった。けれど、玄関から出ると、僕の目の前にそれは居た。
「……どうも、神です」
漫画や小説に出てくるような威厳のある感じじゃなくて、コミュ障で俯いていて、なんだか親近感を持ってしまう。
「神様がどうして僕のところに?」
「それは……わたしが出来損ないであるからです」
もっと俯いて神は言う。僕が持っていた神のイメージと違いすぎて、少し拍子抜けた。
「取り敢えず、お茶飲まない? 家入りなよ」
神相手にタメで良いのか分からないけれど、僕は自然とそのように喋っていた。
「ありがとうございます……」
神は顔を上げてそう言った。そこに浮かぶ笑顔は懐かしい思いがして、僕は少し涙した。




#神様が舞い降りてきて、こう言った。

7/26/2023, 3:30:00 PM

人のために何かができるだなんて、なんて素晴らしいことなのだろうか。強制でも任意でも、他人のために動くという行動をとったら、人は認められるべきだ。他人のためになったなら賞賛されるべきだ。
けれどわたしは、賞賛されるためではなく、あなたの笑顔を見るために行動する。




#誰かのためになるならば

7/26/2023, 1:47:41 AM

ピピピピピ、と鳴いた。届かない。
届いてほしい人の元へ、早く開放されたい。





#鳥かご

7/21/2023, 2:53:48 PM

何の変哲もない腕時計。どう頑張ったとしても、その価値は1000円を上回らないだろう。
僕は、ずっとそれを触ってみたかった。その持ち主に、「その時計、お洒落だね。すごく似合っているよ」などと言いたかった。
けれど絶対に、それは叶わない。時計の持ち主は、もうとっくに逝っている。持ち物は全て質屋にまわされて、もう君が居た証拠は、この世には残っていない。
どうしたらいい? 僕は泣きじゃくることしかできない。




#今一番欲しいもの

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