飛花

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何の変哲もない腕時計。どう頑張ったとしても、その価値は1000円を上回らないだろう。
僕は、ずっとそれを触ってみたかった。その持ち主に、「その時計、お洒落だね。すごく似合っているよ」などと言いたかった。
けれど絶対に、それは叶わない。時計の持ち主は、もうとっくに逝っている。持ち物は全て質屋にまわされて、もう君が居た証拠は、この世には残っていない。
どうしたらいい? 僕は泣きじゃくることしかできない。




#今一番欲しいもの

7/21/2023, 2:53:48 PM