NoName

Open App
5/29/2024, 2:35:15 PM

「ごめんね」



昔から、よく嘘をついていた。
嘘つきは泥棒の始まりだって聞いたこともあったけど、私の場合は違った。

覚えている中で、初めて嘘をついたのは幼稚園の年中さんの時。確かクラスは、きりん組だったっけ。



うわーん

「はなちゃんがおもちゃとったー!かえしてよー!」


「はな、とってないもん!しほちゃんうそいわないで!」

うわーん、わーん


2人して大泣きしていたら、先生が仲裁に来たんだよね。どうしたの?どっちが嘘ついてるの?って。

まともな説明なんてできてなくて、話は二転三転、支離滅裂だったと思う。先生も困っちゃって、廊下に出て2人で納得いくまで話し合いなさい、話し合いが終わったら先生に教えてって。

どんな話し合いをしたかなんて覚えてないけど、結局、お互いにごめんねして、仲直り。どっちが嘘をついてたかなんてうやむやになって、おもちゃは仲良く使うように、次貸してって言えばいいんだからね、みたいなことを言ってたかな。

叱る先生が見てたのは、多分はなちゃんの方。
はなちゃんには悪いことしちゃったよ。
いや〜、ごめんね?

5/27/2024, 1:41:09 PM

天国と地獄

どちらも死後の世界と言われるもの
死んだ後、辿り着く世界
まだ生きている者が知るはずのない世界

もしも存在するのなら、私は地獄に行くだろう

5/26/2024, 1:51:17 PM

月に願いを



月は夜の象徴
月は夜の支配者
月は夜の守護者

夜は眠りにつく時
夜は息を潜める時
夜は想いを馳せる時

夢を照らすのは月
命を照らすのは月
心を照らすのは月

どうか私の大切な人が
健やかでありますように

4/22/2024, 2:21:52 PM

たとえ間違いだったとしても


それは、もうすぐで全ての雪が溶けて、沢山の命が起きだすような季節だった。
私は、いつものように部屋の窓から空を見上げていて、そこに大事な話があるって、あなたが来た。




「アルバート、ダメよ。あなたは間違っているわ。もう一度、ちゃんと考え直してちょうだい。」

「マリー…。たとえ間違いだったとしても、君にとって良くない結果なのだとしても、僕の答えは変わらないよ。もう何十回、何百回も考えた。毎日毎日、飽きもせずにね。
今までのこと、現状、未来のこと。どれだけ考えても、君のそばに僕がいないだなんて耐えられない。」

「…そんなことはないわ。あなたなら、大丈夫。沢山の人に愛されているから。みんな助けてくれる。そして私よりも、もっと素敵な女性と、幸せな家庭を築くのだわ。だから…」

「マリー、ねぇ、マリー。そんな、酷いことを言わないでくれ。これから、何十年の時が経とうとも、僕は君のそばにいると約束するよ。僕の鼓動が止まるその時まで、ずっとだ。だから、その時が来たら、君が迎えに来て欲しい。壁画でしか知らないような天使様じゃなくて、見たこともないような天国の扉じゃなくて、君がいい。」

あなたは、大事な話があると言って来て、大きく息をして、少し強張った顔で言うの。

「愛しいマリー、僕と結婚して下さいませんか?」

って。



あなたも、私も、本当にばかなのよ。
私は、もう長くは生きられないだろうって言われているのに。あなたはそれを承知でいるのに。

約束するわ。たとえ間違いだったとしても、最良で、最善で、最高の選択だったって最期に思えるように。

4/21/2024, 1:01:16 PM



雫というものは、基本的に落ちるものだ。
空中でとどまったりしないし、空に登っていくこともない。
世界一落ちる速度が遅い雫だって、10年に一滴くらいの頻度で落ちるって聞いたことある。

何故って、重力があるからだよね。超能力者でもない限り、雫が落下するのを防ぐのは難しいだろう。
今だって、髪の毛から落ちていく水が画面に張り付いている。煩わしい、ってこういう時に使う言葉だと思うよ。

でもね、重力があってよかった。
雫が落ちることが当たり前で、他のものもふよふよ浮いてなくて。地に足ついてるって感じ!

今日も、当たり前のことが当たり前のままでいてくれて、安心した。

Next