夜空を見ることが好きだ。
特に晴れていて雲がなく、星が瞬いている空は尚更に好きだ。
空気が澄んでいて、余計な明かりがない、大自然で大の字に寝転んで見る夜空は格別だ。
今は夏場に近いので、夜遅くまで見ていられる。たまに虫がよってくるのがデメリットだが、そんなことも少しは忘れられる。
今日もいつも通り、夜の散歩がてら夜空をみていた。
「あ! 流れ星!」
男だが、何歳になっても流れ星にはテンションがあがる。
もちろん、お願い事を三回唱えることもする。
一瞬の出来事なので、お願い事は決めていた。
「金! 金! 金!」
これなら三回唱えられることが多い。
そして、今回は唱えられた。唱えられたどころか。
「金金金金金金ぇ!?」
流れ星が消えない。
消えないどころか近付いてきて……
「ぇええ!?」
足元にどでかい穴があく。もの凄い衝撃と音が同時にした。
まさか、流れ星が足元に落下してくるとは。
【落下】
20世紀に思っていた21世紀は、車が空を飛んでたり、宇宙旅行があたり前だったり、タイムマシーンができているものかと思っていた。
実際の21世紀は、まだ空を飛ぶ車は実用化してないし、宇宙旅行は金持ちの遊戯だし、タイムマシーンなんて夢物語だ。
21世紀に思っている22世紀は、コールドスリープしたり、地球じゃない所に人類は移動し始めたり、ロボットと共存していると思っている。
でも、本当に22世紀になったら、そうなっているだろうか。
21世紀の時と同様で、何現実味のないことを言ってるんだと思うだろうか。
未来は誰にもわからない、今生きてる人類が作り上げるものだから。
もしかしたら、戦争で様々な国が消えているかもしれない。もしかしたら、天変地異で地球そのものがなくなっているかもしれない。もしかしたら、人類事態が消え去っているかもしれない。
何がおこるかわからない、どう転ぶかはわからない。良くも悪くもなりうるのだ。
過去は変えられないけれど、未来は作れる。
未来は、わからないものである。
【未来】
去年の今頃は、まだ流行り病が流行してて、いつまでマスク生活をしなくちゃいけないのだろう、そう思っていた。
一年前、その一年前と今では、随分と対応が変わってきた。
何年前かわからなかったけど、マスクをしていなかったあの時代にまで、今年は戻ってきた。
もうあの一年前には戻りたくないな。
経営が難しくなった職業も多かったし、あれこれ試行錯誤を重ねた日々。
今の一年は、来年振り返った時にどう思うだろうか。
今みたいに、一年前はこうだったね、と笑いながら話せているだろうか。
話せていれればいいな。
【一年前】
俺はまだ、好きな本に巡りあえていない。
表紙を見て、気になった本でも、読んでみると表紙負けというか、さほどでもなかったり。
もくじを見て、このタイトル面白そうと思っても、なんだかしっくりこなかったり。
読書の秋とは言うけれど、この梅雨の時期もまた、俺にとっては読書の季節である。
好きな本に巡りあってないだけであり、読書が嫌いな訳ではない。逆に人より読んでいる方だ。
こんなに読んでいるのに、心の底からグッとくる本と巡りあえないのだから……
俺は、本を書いてみた。俺好みの俺の本。
好きな本がないなら、好きな本を作ればいい。
雨音をBGMに、筆が進む。
これが俺の好きな本だ。
【好きな本】
今日の天気は雨のち曇り、時々晴れ。
いやいやどんな天気だよ。一体メインはどれなのよ。
俺は歯磨きしながら天気予報をみていた。
窓からは光が射しているように見えるが、雨音も聞こえてくる。
こういうあいまいな空の時は傘を折り畳みにするか、普通のにするか悩む。
普通ので行くともし晴れたら忘れそう、雨が強かったら折り畳みだと処理含めて面倒だ。
「やばー! 遅刻するー! お兄ちゃんよけて!」
思い切り妹に背中を押されて、歯磨き中の口の中のものが出た。
「やだもー! 汚い!」
「お前が押したんだろ!」
「今日晴れ?」
「雨のち曇りで時々晴れだって」
「何そのどれきてもアタリですみたいな天気」
妹の切れのあるツッコミにまた吹き出した。
あいまいな空だが、それもまた思春期の妹とのトークのネタになるので、まぁいいか、と俺は考えた。
【あいまいな空】