『小さな幸せ』
人々は
更に絶望していた、
何より飢えていた、
でも
微笑み、慈しみ、
小さな幸せを
やっとの支えにして
生き抜いていた。
それが、
夏の朝が、
いつもの朝が、
忘れ難きあの日が、
一瞬に
全ての
慎しい
幸せを
消滅に
いたら
しめた
何故に
それでも、
人を信じれるのか、
自らを信じれるのか、
あぁ朝から虚しさが
込み上げてならない。
今、できること。
それはささやかでも
日常の生活の数々
1秒でも長く。
『春爛漫』
春かぁ...
キミと迎えるはずの
その頃のマッスの膨張痕
また、思い知るのだね
春は移ろう気圏層
想いを通さぬ液状土
或は拒みさすらう幻想か
春かぁ...
キミが輝くはずの
その頃のマチュエの錯綜
また、夢を見るのだね
春は河面に浮かぶ淡水泡
光りを通さぬ多面鏡
或は置き忘れの玩具か
春かぁ...
キミを包むはずの
その頃のインスピの拡散
また、惜別するだね
春は過ぎ去りし偶像絵
薄皮剥けた水草球根
或は風の奏でし葬送詩か
春かぁ...
ゆえに想うのだね
春かぁ...
ゆえに哀しいのだね
春かぁ...
ゆえに爛漫なのだね
『七色』
きみはね...
僕の憧れ
決して
手繰れない
七色の糸
でも...
仄かに
瞬いてたんだよ
憧れは
真実
小箱の中の
押し花のように
『記憶』
僕はあの子と繋いでた手を離した
おさないの頃の後悔
僕は意中の娘に突然待ち場所を告げ
ひたすら待ち続けた
十九のせっかち
(来るわけないのに六時間待って帰った‥)
僕は恋い焦がれた歳上の女と落ち延び
暗闇の世界に沈んだ
二十代の嘆き
僕は疲れきった年下の若妻を奪いとり
また暗闇の中に置き去られた
三十代の失墜
…その僕がよ‥恋歌とはね‥
いとおかし… かな
『もう二度と』
あなたは
裁かれた
下僕たちは
永遠に傍観している
でも..そうなのか
否。
花は何のために咲く
その美
その時
鳥の為にではない
虫の為でもない
彼らには見えない
奴らにも見えない
何を示すのだ
安らぎか
慰みか
否。
いつからか
人の死を
恐れている
失うことが多過ぎる
もう一度会える
約束など
誰もしてくれない
愛していてもか
否。