星乃威月

Open App
9/8/2025, 10:49:55 PM

俺には、夢があった

勉強できて、運動神経抜群で、誰からも愛される

そんな人になりたかった


毎日毎日人だかりで

「キャー!
 アキラー!こっち向いてぇー!
 キャー!カッコいいー!」

と、あちこちから惚れ惚れした溜め息が漏れてくる

そんなアキラの姿を日々見てると


『俺も仲間に入れて欲しい!』

と、思う時が、何度も訪れた


声をかけたかった

友達でもいい、知人でもいい、顔見知りでもいいから──


けど、できなかった

勉強はできない、運動音痴で、誰からも愛されない

『何を口実に話せばいいんだ?
 何もかもが正反対の俺が、アキラの仲間になったって
 アキラの面子が丸潰れになるだけじゃないか
 俺には、仲間になる資格がないんだ……』と

毎日毎日、たった1人で昼食を摂った


それを見ていた周りからは

「フフッ
 アキラとは正反対ね」

と、指を指されて笑われた


ある日、耐えかねた俺は

仲間になれないことを、母に相談した

けど……

「今更、何言ってるの?
 もう中学1年でしょ?
 そんなことより、進路を早く決めなさい
 自分で考えられるでしょ?」

と断られた


母の言葉は胸に突き刺さった

したくてしてきたんじゃない!

正反対のこの屈辱を、この俺自身を

俺は、毎日毎日我慢して耐えてきたんだ!!

自分で考えても分からなくなったから、相談したのに──


俺は

『苛められてないだけ、まだマシか』

と、その後も1人で自分を励ましていた



ー仲間になれなくてー

9/8/2025, 8:53:42 AM

傘も指さずに、雨に打たれながら佇む君

何をしてるのだろう……


声をかけようとしたら、君は振り返った

泣いていた


泣き声が聞こえないように

誰にも心配かけないように

迷惑かけないようにと

人気のな居場所を敢えて選び、泣いていたらしい


「どうしたの?
 何かあった?」


居たたまれず、声をかけた


「いい
 話したって、どうにもならないことだから」


君はまた、遥か向こうを振り向いて

声を殺して、再び泣き続けた


何も出来ない

その悔しさに苛まれ

悔やんでも悔やみきれずに、泣いてるのだろう


辺りの雨は、まるで君自身の心を映したかのように

暗く荒んで、荒々しかった


君の心に

希望の灯火となる晴れ間が訪れますように……


俺は、願うしかなかった



ー雨と君ー

9/6/2025, 8:19:09 PM

ふと目が覚めると

周りには誰もいなかった


窓から吹き込む風が

カーテンを揺らす


涼しい秋風に

心寂しくなる


「夏も終わりか
 残り、あと半年……」


卒業まで何を残せるだろう──


残りの歳月を指折り数え

何も残せていない自身に

物悲しくなった



ー誰もいない教室ー

9/5/2025, 9:08:26 PM

突然、体は走り出した

けど、心は「止まれ」と悲鳴を上げている

体と心がバラバラ

なぜ信号を出さない?

助けを求めれば、救えたかもしれないのに



ー信号ー

9/4/2025, 3:36:10 PM

彼女が泣いていた

好きな人に振られたんだとさ

振られてから、三日三晩泣き続けてるらしい

涙が頬を伝い

肩をヒクヒクさせながら、泣き続ける彼女


俺は、言い出せなかった

「俺は、君の事、悲しませたりしないよ」と



ー言い出せなかった「」ー

Next