星乃威月

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俺には、夢があった

勉強できて、運動神経抜群で、誰からも愛される

そんな人になりたかった


毎日毎日人だかりで

「キャー!
 アキラー!こっち向いてぇー!
 キャー!カッコいいー!」

と、あちこちから惚れ惚れした溜め息が漏れてくる

そんなアキラの姿を日々見てると


『俺も仲間に入れて欲しい!』

と、思う時が、何度も訪れた


声をかけたかった

友達でもいい、知人でもいい、顔見知りでもいいから──


けど、できなかった

勉強はできない、運動音痴で、誰からも愛されない

『何を口実に話せばいいんだ?
 何もかもが正反対の俺が、アキラの仲間になったって
 アキラの面子が丸潰れになるだけじゃないか
 俺には、仲間になる資格がないんだ……』と

毎日毎日、たった1人で昼食を摂った


それを見ていた周りからは

「フフッ
 アキラとは正反対ね」

と、指を指されて笑われた


ある日、耐えかねた俺は

仲間になれないことを、母に相談した

けど……

「今更、何言ってるの?
 もう中学1年でしょ?
 そんなことより、進路を早く決めなさい
 自分で考えられるでしょ?」

と断られた


母の言葉は胸に突き刺さった

したくてしてきたんじゃない!

正反対のこの屈辱を、この俺自身を

俺は、毎日毎日我慢して耐えてきたんだ!!

自分で考えても分からなくなったから、相談したのに──


俺は

『苛められてないだけ、まだマシか』

と、その後も1人で自分を励ましていた



ー仲間になれなくてー

9/8/2025, 10:49:55 PM