「君、名前は……? 僕は──」
公園でばったり出会った、同じ制服の人
同級生なのか、下級生なのか
はたまた、先輩かもしれない
けど、声をかけずには居られなかった
同じ背格好、同じ髪
瓜二つとしか思えない出で立ちは、他人とは思えなかった
「ぼ、僕は、シンジって言います! 聞いたこと、ありませんか?」
「……シンジ?」
顔を傾げながら、考えに耽っている
最近の記憶を巡らしてるのか
それとも、過去の遠い記憶を遡ってるのか……
しばらく間が空いた後、僕の目を見て、ハッとした
「シンジって、幼い頃に生き別れた、あのシンジか?」
未だに信じられない
血が繋がってたとはいえ、長い間、会えなかったのだから
「大きくなったな! 今、何年生だ?」
「高二になります 失礼ですが、君は?」
「俺は、高三 ってことは、俺が年上だな!」
めちゃめちゃフレンドリーに話す君
初対面の兄弟とはいえ、こんなにも親しくなるものだろうか
生き別れの兄弟
長い間、話も出来なかったのに
その後も、初対面とは思えないほど、話は弾んだ
ー君と僕ー
夢へ向かって、羽ばたいてたのは、いつだっただろう
蒼い蒼い空を、自由に飛べるように
白いキャンパスに、何でも描けてたように
何事も、自由に羽ばたけると思っていた
病気にならなかったら……
もっと早く、受診してたら……
あんなに気を付けてたのに、どうして……
後悔だけはしないよう
ただただ我武者羅に、前だけを向いて生きてきた
けど、どこで間違えたのだろう……
前へ、ひたすら前へ──
その気持ちが、良くなかったのかも知れない
夢を叶えるためには、心の余裕も大事
夢へ向かって飛ぶ
私は今も
叶えられなかった希望に向かって、歩み進めていますか
ー夢へ!ー
面会謝絶の祖母
元気じゃないんだろうけど
元気でいることを願いたい
峠とか、多臓器低下とか……
『そんなの、気のせいだよ』って
誰かに言われたい
こんな時、どうすればいいんだろ……
残された家族が、一番心配
早く元気になってね
声に出して届けられない自分が
一番虚しい
ー元気かなー
「またね!元気でね!」
幼い頃に交わした約束から、早何年
スマホも携帯も、普及してなかった頃
親しかった友達は、どこか遠くの街へ行ってしまった
自分の住所も、電話番号も分からなかった
文通をしたくても、方法が分からなかった
声を聞きたくても、また会いたくても
まだ幼かった私には、術がなかった
卒業アルバムにも載らなかった、あの子
今頃、何してるだろう
別れ際、渡してくれた紙
あれが住所だと分かった頃には
名前も忘れていた
せっかく教えてくれたのに
どうすればいいのか分からず
文通をしなかった私を、憎んでるだろうか
笑顔で教えてくれた住所は、今も
私の宝箱の中で眠っている
ー遠い約束ー
見渡す限りの 花畑(フラワーガーデン)
晴れ渡る空
咲き誇る花たちを見ようと
集う人々
当たり前の光景
当たり前の日常
まさか 特別だったなんて……
都会に住み始めて間もなく
春になる度
見渡す限りの花々が
見れなくなった
心寂しくなったな……
そんな時に出会った
花屋(フラワーショップ) に飾られてた花たち
あの頃に戻れたら……と
咲き誇る花を見つめては
懐かしき 花の絨毯(フラワーカーペット)を
思い描くのだった
ーフラワーー