目に入るもの全てが
やたらと眩しくて
みすぼらしい心は、余計に萎んだ。
自分に似合わない場所だらけの社会
全てが大嫌いで、羨ましかった。
こんな心でも
こんな顔でも
こんな汚れを持っていても
「綺麗」って言って。
叫べないSOSは社会に飲み込まれていって
私から私が消えた。
私が、何十年後かの私に託した手紙。
「大人の私。どうか、この恋をずっと覚えていて」
長い空白の間に出したことさえ忘れた手紙。
受け取ったときに、ほのかに香った
あの頃、焦がれたあの人の香水。
記憶の中に閉じ込められていた私が、ようやく笑った。
「やっと届いて嬉しい」と。
今日だけは、愛しい人の隣で
あの頃の恋を、抱きしめさせて。
【秘密の手紙】
さあ、開けてみて。
私があげたプレゼント
中身を早く、その手に掴んで
綺麗に整えた最高の顔を歪ませて。
心を込めて詰めてあげたの
長年溜めた、殺意と怒りを
精一杯、包んだの
口にしたことがない、あなたへの罵倒を
ほら、たっぷりと味わって。
私の心の裏の奥
「驚いた」なんてとぼけないよね?
だって、あなた、この私も知ってるもの
あなたが、その手で叩いた私
あなたの口で、傷つけた私
あなたが心を抉った私
ほらね、よく知っているでしょう。
【贈り物の中身】
心に空いた大きな穴は
どんどん蝕まれていって
私を人間から、物体に変えた。
「寂しい」
その一言を心の奥の奥から伝えられる相手がいなくて
その一言を正面から受け止めてくれる相手がいなくて
私は私を殺して、大人になった。
孤独だと認めたくなくて
孤立していると信じたくなくて
「大丈夫」と言い聞かせ続けた、あの頃。
心はずっと前に、死んでいた。
この瞬間が永遠に続きますように。
子どもと大人の狭間の中で
そう願った時が、たしかにあった。
小さくて重いその願いは
勝てない圧力で踏みにじられてしまったけれど
今でも胸を焦がす、大切な記憶。
小さな世界の中で、たったひとりだけが大切だったあの頃。
弱くて
情けなくて
無力で
何も持っていなかったけど
一番、私が私らしい恋をしてた。