パンを止めるアレ帳

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5/27/2025, 11:04:28 AM

会いたい、とメッセージを送る。

君はすぐに返信をくれる。君はいつだって優しい。
優しいからこそ、疑ってしまう。
メッセージを送って既読が着くまでの24秒、本当はすぐに気づいてた癖に、私を焦らす為だけに用意したんじゃないのかな。
そんなわけないくせに。私は酷い人だ。

こんなこといけない、このままじゃだめだ。
だから、これで最後にするの。

今日もこれで最後を繰り返す。

【テーマ:これで最後】

4/30/2025, 11:11:05 AM

求められずに消えた軌跡。
消しゴムで消しておきたいのにな。

4/28/2025, 11:09:58 PM

「君は今日もそうやってだんまりを決め込むつもりか」

ざらつく声がやけに馴れ馴れしく僕の鼓膜を震わせた。
薄暗い部屋、2桁になったスクリーンタイム、箸で蓋をされたカップ麺、大して友達もいないくせに溜まったLINEの通知。

言いたいことは、いっぱいある。不満も感謝もあるが、どちらかというと不満の方が多い。
でもそれを言ったところで、だろう。ただの自意識過剰故の臆病さであることは承知しているが、それもだからなんだ。どんな反応が返ってくるのか分からないなら、最初から言わない方が後悔はしない。

「あぁ、もう日の出だ」

呆れたような声だった。タイマーがなる。カップ麺を啜る。胃のそこが、石でも詰めたように重かった。

【夜が明けた】

4/22/2025, 8:08:02 AM

夢を見た。
どういうわけか私は海を揺蕩っていて、肺には空気の代わりにいっぱいの海水が溜まっていた。
不思議と驚きや恐怖はなかった。私は深い深い奥まで沈み、やがて底に小さな栓を見つけた。

「あけてみましょ」と魚がささやく。
風呂の底にあるゴム栓に似たそれを、私はそっと開け放った。その瞬間、耳元の魚は底の穴に吸い込まれて消えていった。魚だけじゃない。その上を泳いでいた小さな魚も、大きな魚も、藻も生き物もポイ捨てされたゴミも全部全部、海水と一緒にその穴に吸い込まれて消えてしまった。

私のせいで出来た途方もないほどの荒地に佇みながら、私は愉快でたまらなかった。頑張って作ったおもちゃの積み木を壊すような、ささやかな背徳感。責任の伴わない罪。だってこれは夢だから、所詮は空想であるのだから!


私は風に飛ばされ空を飛んだ。
やがて海に沿って作られた沢山のビルが見えてくる。空の色はめちゃくちゃで、昼か夜かも分からない。どちらにせよ、既に人間の社会に昼夜の区別は存在しなかった。

「ひっくりかえしましょう」そう鳥がささやいた。
私は迷いなく、頭を軽くかたむけた。見える景色が変わらない、でもそれはおかしい! 頭と一緒にかたむいた世界で、かたむいた人々がずるずると不可視の力に引きずり回されている。縦長に建てられた人口過密の象徴が根元から折れ、ガラスが割れる音が甲高く響く。

私は半ば狂乱に陥りながら、首を更に90°曲げようと四苦八苦する。ひっくり返せと鳥がささやいている。ささやく声はどんどん増えて、呟くような声は次第に喧騒へと変わっていった。

ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!ひっくり返せ!


…気がつくと、私は布団の下で目を覚ました。
耳元で喧しく鳴る目覚まし時計を止め、寝違えて痛い首をさすりながら、私は洗面台に向かった。

4/15/2025, 10:10:43 AM

全部全部、いいこともわるいことも私に教えて
これまでの全て、これからの全て、終わってしまう前に知っておきたいでしょ?

どんでん返しを謳う後味が悪い小説
バッドエンドが確定しているラブストーリー
せめてどんな風に終わるか知りたいの

それは世界一かんたんな台本
それは三人称のスコープ
或いは興ざめなネタバレツイート

いつの間にかこの思いは湿気て腐って

「もう、桜に緑が混じり始めたみたい」

そうあなたは呟いた
ビリビリに破いたラブレターと一緒に、花吹雪が舞っていた

【テーマ:春恋】

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