6/2/2025, 6:08:11 PM
いつの間にか
自然と目で追うようになった彼女
卒業するまでに想いを伝えよう
雨の日の放課後
人がまばらになった校舎から
彼女が相合傘で出ていくところを見かける
「あの2人、お似合いだよね!」
近くの同級生の声がやけにはっきり聞こえた
足早に学校を出る
差した傘で涙を隠しながら帰宅した
『傘の中の秘密』
●No.14
5/30/2025, 2:42:31 PM
漆黒の闇の中
うずくまって下を向く大人の僕
静かな声で呟く
「もう終わらせてしまおうか」
その視界に差し出された小さな手に
顔を上げると子どもの頃の僕
「まだ終わるには早いよ。着いてきて」
手を取って先へ進む
闇を抜けて明るい場所へ
「ほら、世界はこんなに素晴らしい。
君はひとりぼっちじゃないよ」
その先には笑顔で僕に呼びかける
大切な人達がいた
『まだ続く物語』
●No.13
5/29/2025, 12:07:38 PM
二人で歩く浜辺
上を仰ぎ見れば
一羽のカモメが舞う
雲ひとつない青空へ
『渡り鳥』
●No.12
5/26/2025, 11:58:04 AM
君の笑顔が僕は1番好きだった
それでも天邪鬼な僕は照れ隠しから
君の喜ぶ言葉をかけたことはなかった
こんなことなら普段からもっと
愛情を伝えればよかったんだ
病室のベッドの前
冷たくなった君の手を握りながら
何度も繰り返す名前が
もう君の耳に届くことはない
こんな僕の姿は
遠くにいってしまった君に
情けなく映るだろうか
『君の名前を呼んだ日』
No.11
5/25/2025, 1:50:59 PM
天気が悪いと思い出す
いつだったか
僕自身の本当に気がついた
あの頃のことを
ああ
僕の代わりに空が泣いている
これを拭える人が
この先
現れることはあるんだろうか
『やさしい雨音』
●No.10