運命

Open App
1/22/2026, 10:07:12 AM

「やっぱ割に合わないよな」
そう思いながら寒さの中で待機していた。ここは北端にある刑務所。どうせなら南米のあったかいところがいいといつも思っているが、やはり寒いだけある。罪の重さが違う。軽罪の罪人は居なくはないが冤罪が多い。囚人の多くは勘が別格。刑務所は動物園。見下されて怯える熊、どこにいるか分からない山猫、人間見下している狒々。そして自分が見下されていることに気づいていない人間。
何もない檻はいつも自分自身の本質が反射する。気が狂って手足を噛みちぎり、内臓が無造作が牢にこびりつく。
そして私はとりにいく。
日が寒さに押し込まれる。
闇が霧のように窓から入り込む。
囚人は凍える。
私たちは鎌を握る。
そしていつしかこう呼ばれるようになった。
‘死神’と

みんなも悪さはしないように。殺させるより、自殺するより、刈られる方がよほど痛い。痛いなんてもんじゃない
囚人は痛みで叫ぶ
叫ぶ勢いで魂が飛び出す
寒さで冷えた手は魂が逃げるのを許してはくれないよ

1/7/2026, 10:49:17 AM

去年はたくさん降った
今年はこれから
来年は大雪
次の次の次の次の次の次の年は1日で道路が凍りつき、1日で蝉が鳴き始めるだろうか

何かと言って人類は生きていくんだろうな

雪の無いお正月にそう思った

12/19/2025, 12:44:32 PM

夢を見ていた。三日月に座って釣りをしていた。何も釣るものはない。でもその状態がとても心地よかった。ずっとここが良かった。下には街が広がっていて、空には星々が灯りを放っていた。寝ているような夢を見ているような。布団に入っているように暖かく安心できる。まるで母親の腕の中で守られているような。
ここは何も焦ることがない。ただただ僕自身がここに居たいと思えるような空間そのままだった。何もかかるはずのない釣竿をしっかりと引く感触があった。それも結構な大物。思いっきり引っ張ると、終わりが見えない千羽鶴が反動でうねりながら釣り上がった。
「すごい」
ただただそう思ってしまった。
釣り上げた反動で千羽鶴から数十羽の鶴が散らばってしまった。集めようと手を伸ばすと鶴たちの方から僕の方へ近寄って来た。1羽が言った

「元気になってね」

もう1羽が言った

「良くなってね」と。

鶴たちは僕の周りを周回しながらそう言った。

「頑張って」

「また学校来いよ」

「学校楽しいよ」

「みんな待ってるよ」

「がんばれ。大丈夫。お母さんがついてるよ」
声の方を振り向くと、僕の左手を両手で握りしめている母の姿が見えた。母の頬から一筋の涙が見えた。僕の左手にその雫が落ちたときに、それに合わせるように周りの鶴たちが僕を囲った。全ての鶴が光を放ちながら僕に入り込んでくる。
 病室に飾られている千羽鶴が爆ぜると同じタイミングで、病床の僕が目を覚ました。
「おはよ」
僕がそういうと母は握りしめていた僕の左手を離して顔を涙で濡らしながらずっと抱きしめてくれた。何も言わずに一心不乱に。
“おかえり”
1羽だけ残っていた鶴がそう言ったような気がした。



12/18/2025, 10:34:27 PM

分かっている。君だって分かってるはずだ。どうしようも出来ない自分自身が一番もどかしいんだから。でも、だけど、自分自身が一番足掻き苦しんだことはわかってほしい。初めからそもそも手の届かない場所だったんだ。

何かとは言わないが、この書き物を読んでくれている皆さんは、人それぞれ一度はこういうことを体験したことがあるのではないでしょうか?また、このような状態に憧れているというか、こういうセリフを言ってみたいと思ったことがあると思います。僕もいつかは言ってみたいと思います笑。こういう状態になるにはいくつかの選択肢が有ると思います。皆さんが上の書き物を読んだ時点で思ったのは恐らく‘恋愛’なんじゃないかなと思います。これから色々な経験をしてその度に自分で言った事を明言として確立させて、僕自身の武勇伝として記していきます。
 みんなはもっと自由に気ままに生きていいんだと思います。

12/17/2025, 10:29:24 AM

また今年もよく積もった。雪を踏みながら思った。なぜ雪はこんなにも捉えどころがないのに、一度踏んでしまうと土色に滲んでしまうのだろう。新しく積もった雪を少し頬張る。味が変わって来た。子供の頃はもっと雪菓子のように透き通っていたのに。変わってしまったんだな。
小川まで雪を踏み締めてきた。小川は冷たく、布に水が染み込んで行くように痛い。昔の呪術師はこの水でお清めしていたらしい。小川の橋を渡りながら思い出した。澄んだ空気は炬燵であったまった体には少し厳しかった。手遊びに雪兎を1羽拵えた。嬉しそうにその場で跳ねて回ったが少し寂しそうだった。もう1羽拵えると2羽で番となり、雪景色に溶けていった。
先日飼っていた鷹が死んだので遺灰を小川に流した。
「遠くに飛んでお行き」
遺灰は川に流され橋をくぐると、冷風に当てられて舞い上がった。
“わしらは輪廻の輪にいる。いつでもあえるではないか。また会おう”
空に翔んで行く“声”を聴いた。
‘嗚呼。ちと休んでからまた帰ってこい’
目から溢れる涙は足元の雪を濡らした。

Next