“耳を澄ますと”
いつもの帰り道
私は必ずこの公園の前で
足を止める
耳を澄ますと聞こえてくる
バイオリンの音色
どこで誰が弾いているのか
知らないが
私はこの場所で聞くあの音色が
たまらなく好きだ
いつしか私はこの音色に恋をした
優しいその音色は
私の人生の楽しみとなっていた
ある日の事
いつものようにその場所で立ち止まり
耳を澄ましたが聞こえてはこなかった
次の日も、又その次の日も
そう、二度と聞くことは
出来なかった
そしてその何年か後に
その公園もその周りもなくなり
大きなマンションが建った
私はその前を通ると
たまに思い出す
あの公園の季節の中で
誰かが奏でた春夏秋冬の音色を
今でも耳を澄ますと聞こえてくる
想い出の1ページと一緒に・・・
“二人だけの秘密”
中学の卒業式の日
私と君で校舎の裏の桂の木の下に
二人だけのタイムカプセルを埋めた
君は覚えていただろうかあの約束
10年後の25歳の同じ日に
まだ2人が一緒だったら
開けるはずだった約束
もうあれから10年
君は約束の前に逝ってしまったね
だから、1 0年目の同じ日に
私はカプセルを開けたよ
そこには、あなたからの
ラブレターが入っていた
”10年後の君へ
僕はまだ君の隣で笑っていられて
いるかな?
この手紙を君と開けた今日この日
10年前に決めていた事を伝えるね
僕と結婚して下さい“
叶わなかった君の思い
“ありがとね”
私はこの二人だけの
秘密のカプセルを胸に
あなたの分も
幸せに生きていきます
”優しくしないで“
あなたはズルい人
私の心をいつももて遊ぶ
何気ない仕草
何気ない言葉が
私の決心を揺さぶる
あなたは誰にでも優しいから
そのあなたの笑顔が
私の心に時として
矢となって突き刺さる
私はあなたから
卒業するから
その時は振り向かないで
歩いて行ってね
あなたのその優しさが
あなたのその笑顔が
私には辛すぎるから
これ以上
優しくしないでね
“カラフル”
自分の人生を色で例えると何だろう
難しい
だって、毎日色は変わっていく
朝は気合いいっぱいで赤だったとしても
仕事終わりの帰りにはグレーに変わる
そう考えると人生はカラフルだ
いろんな色を奏でる
だから私は毎日カラフルでも良いと思う
人生の最後に自分の重い描く
色になっていればイイ
私はその最後の色を素敵にする為に
今はカラフルな色を奏でていきたい
”風に乗って“
小さかった時私はずっと
お父さんは星になったと思っていた
だけどお父さんの2つだけ
覚えている事がある
お父さんの笑顔と
お父さんの香り
お父さんの大きな背中で
温かいその香りが好きだった
お父さん。今日私は結婚します
私の運命の人は
とても優しい笑顔と
お父さんと同じ温かな香りがする人です
その人は春一番の強い風が吹いてる日に
出会いました
きっとお父さんが私に出会わせる為に
春の風に乗せて
連れてきてくれたのかな?
私は今、とても幸せです
お父さんへ
この春の風に乗せて
“ありがとう”の言葉を届けます