ちっちゃなはは

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“耳を澄ますと”

いつもの帰り道
私は必ずこの公園の前で
足を止める
耳を澄ますと聞こえてくる
バイオリンの音色

どこで誰が弾いているのか
知らないが
私はこの場所で聞くあの音色が
たまらなく好きだ

いつしか私はこの音色に恋をした
優しいその音色は
私の人生の楽しみとなっていた

ある日の事
いつものようにその場所で立ち止まり
耳を澄ましたが聞こえてはこなかった
次の日も、又その次の日も
そう、二度と聞くことは
出来なかった

そしてその何年か後に
その公園もその周りもなくなり
大きなマンションが建った

私はその前を通ると
たまに思い出す
あの公園の季節の中で
誰かが奏でた春夏秋冬の音色を
今でも耳を澄ますと聞こえてくる
想い出の1ページと一緒に・・・

5/4/2024, 3:09:23 PM