”無色の世界“
私の友人でもある
バイオリニストの話をしよう
私の友人は生まれた時から
目が見えていない
だからお母さんの顔も知らない
もちろん日本の四季折々の景色も色も
彼は見たことがない
しかし彼の奏でる音色には色がある
その時々の情景がフアッと目の前に現れる
彼は色自体を知らない
全てが無色の世界
私は昔彼に聞いた事がある
“なぜ見た事が無いものを
こんなに綺麗に表現出来るのか”と。
すると彼は笑いながら私に言った。
”僕は何も見た事がないから、触った物の形しかわからない。だけど花を触ってみてそれが一面に咲いている事は想像出来る。だから僕はただそれを奏でているだけ。僕が奏でた曲に色を付けて素敵な曲に仕上げてくれてるのは君だよ“と。
それから私はずっと友人としても
人としても彼を尊敬している。
そして私は今日も彼の奏でるバイオリンに
綺麗な色をプラスしていく。
”桜散る“
春になると思い出す
ずっと昔の私の想い出
桜が満開だった高校の卒業式の日
私達は付き合い始めた
桜の花びらが桜吹雪となっていたあの日
私達は初めてキスをした
何回目かの春がすぎ
満開を過ぎた桜の木の下で
私達は別れを選んだ
そして桜散る道を
お互い別の道を歩いて行った
まるでそれは
私達それぞれにエールを贈るように
桜の花びらが春の風と共に
ひらひらと舞い続けた
”夢見る心”
いつからか、夢見る事も忘れてしまった
いつまで、夢に向かって頑張ってたろう
たまにそんな事を考える時がある
たぶん最後の夢が叶わないとわかった時かな
諦らめた瞬間に空に浮かぶ虹が
スッと消えていくように
私の心から消えていったと思う
あれから何年も歳を重ねて
気付いた事がある
夢は1つじゃなくても良い
たくさんあったって良い
夢見る心は
永遠に持っていてもいい
”届かぬ想い“
僕達はいつも笑っていたね
一緒にばかやって
一緒にはしゃいで
一緒に騒いで
楽しかったあの時代
ばかやる事も
はしゃぐ事も
騒ぐ事も少なくなって
それぞれ大人になって行ったね
君と一緒にいたあの時代が
ときどき僕の胸をざわつかせる
ただ一緒に笑っているだけで
幸せだったこの届かぬ想いを
まだ間に合うならば
いつか届けに行ってもいいかな?
“好きでした”じゃなくて
”今でも好きです“の言葉を
“快晴”
君を初めて見かけた時
目が離せないぐらいドキドキした
突然の雨に雨宿りをしていたね
君と2回目に会ったのは
新しいクラス発表の日
名前も知らなかった君が教室に入ってきた
その時初めて名前を知った
それから君だけを見ていた
毎朝の”おはよう“さえ言えず
声をかける勇気が持てなくて
いつも曇り空の僕の心
いつか言えるかな?
快晴の青空の下で
まずは“おはよう”の一言を