”無色の世界“
私の友人でもある
バイオリニストの話をしよう
私の友人は生まれた時から
目が見えていない
だからお母さんの顔も知らない
もちろん日本の四季折々の景色も色も
彼は見たことがない
しかし彼の奏でる音色には色がある
その時々の情景がフアッと目の前に現れる
彼は色自体を知らない
全てが無色の世界
私は昔彼に聞いた事がある
“なぜ見た事が無いものを
こんなに綺麗に表現出来るのか”と。
すると彼は笑いながら私に言った。
”僕は何も見た事がないから、触った物の形しかわからない。だけど花を触ってみてそれが一面に咲いている事は想像出来る。だから僕はただそれを奏でているだけ。僕が奏でた曲に色を付けて素敵な曲に仕上げてくれてるのは君だよ“と。
それから私はずっと友人としても
人としても彼を尊敬している。
そして私は今日も彼の奏でるバイオリンに
綺麗な色をプラスしていく。
4/18/2024, 3:30:12 PM