「世界に一つだけ」
世界に一つだけのものなんて,ありふれている。
仮に量産型のアイテムでどれだけ姿形が似ていても,
全く同じものではない。
それを素晴らしいと思うか,下らないと思うかは,
自分次第である。
「言葉はいらない、ただ・・・」
言葉はとても強い力がある。
場合によっては,相手の命さえも奪う程に。
しかし,時には言葉よりも大きい力をもつものがある。
それは頷く仕草や笑顔という表情やLINEの返信,
何でも良い。
要は人間の意思が相手に伝わる事が重要なのであり,
言葉はその一手段に過ぎないのである。
こちらの思いを受け取り,了承してくれればよい。
だから,友よ,黙って三万円を貸してくれ。
「突然の君の訪問」
突然の物音に,僕は飛び起きた。
いつも君はこっそり忍び込むように入ってくる。
僕と目が合うと,悪戯がバレたような顔をする。
「普通に玄関から入ってくればいいのに…。」
僕は笑みを浮かべながら,それだと物足りないかとも思う。
僕はベッドから起き上がると,窓辺の君にそっと
手を伸ばして頬を撫でる。
柔らかい毛並みを撫でているのは幸せである。
一言鳴くと,すぐに立ち去ってしまう。
また君の突然の訪問を待ち望む。
「雨に佇む」
突然の雨に佇む。
天気予報では晴れの筈が,土砂降りの雨だった。
咄嗟にシャッターが閉まった店の軒下に駆け込む。
物音がして振り向くと,貴女によく似た女性がいた。
まさか,有り得ない。
何気無く確認したら,別人だった。
ゲリラ豪雨はすぐに止み,嘘のように晴れ出した。
僕は天に感謝して歩き始めた。
「私の日記帳」
僕は「十年日記」を書いている。
きっかけは「十年日記いいよ。」と勧められたからだ。
今日の日記の上には一年前の日記があり,更にその上には
二年前の日記があり……という構造になっている。
三年前の僕は,今の僕の様子なんて全く想像がつかなかった。
十年日記が書き終わる頃には,どれだけの人生が詰まった
ものになるだろうか?