きまぐれくろねこ

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2/7/2025, 10:43:56 AM

「愛してる」
「俺も。愛してる」
私は、不倫している
相手も、不倫をしている

私だっていけないことだと分かっている
でも、ランスが好きなの
あいしているの
アイシテイルノ


ごめん


マリア

2/6/2025, 11:57:07 AM

《お嬢様の生活》




「んぅ…」
だんだん、意識が浮上していくのがわかる。
(今日は、寒いな…)
そんなことを考えながらおもい瞼をあける。
窓の外では、雪がしんしんと降り注いでいる。
(布団から出ない方法はないのかしら?)
お気に入りの布団をのけて、身体を起こす。
「フェアンツェ様、おはようございます」
「おはようございます、メリーサ」
側仕えに挨拶をして、身支度を整えてもらう。
「本日は、ローゼンハーツ様との面会が、六の時にございます」
「そう」
いつもは、3人ほどの側仕えに手伝ってもらって身支度を整えているが、今日は一人だ。
「ファウナとマリアは明日、里帰りから帰ってくるのかしら?」
「はい。明日の九の時だったかと」
「…そう。寂しいものね」
わたくしには、側仕えが八人いる。
そのうちの六人が、7日間の里帰りのため、実家へ帰っている。
どうやら、明日には、2人帰ってきて、四人になるようだ。
わたくしもあわせたら五人。
「明日の朝はきっと賑やかね」


「貴殿に守護の女神、マルアンテルーイの加護がありますよう、心よりお祈りを申し上げます。春の女神、コリンナターリアのもたらす、春の芽吹きが懐かしくなって参りましたが、お加減はいかがでしょうか」
「貴女に守護の女神、マルアンテルーイの加護がありますよう、心よりお祈り申し上げます。相、変わらずお元気に過ごされていることを心よりお祈り申し上げます」
貴族独特の長ったらしい決まり文句と化した挨拶をローゼンハーツ様と交わしたあと、席に着く。
「火急の用とお伺い申し上げましたが、ローゼンハーツ様、何かございまして?」
「……こちらを」
そう言って、黒い小さな箱を差し出してくる。
ローゼンハーツ様の表情を見て取れるように、きっと、誰にも聞かれたくない話なのだろう。
頷いて、黒い箱を受け取り、中に入っている盗聴防止魔具を額につける。
それを見て、ローゼンハーツ様はゆっくりと口を開く。
「……実は…兵衛士が反乱を…」
「あぁ、兵衛士が…」
兵衛士とは、この皇国の兵で、最近、反乱を起こしている。
「その兵衛士のうち一人が、皇帝の愛娘に傷を…」
「!?」
この皇国の絶対権力者の皇帝の愛娘に傷をつけたとなれば、死刑だけでは済まない。
「兵衛士のうちの誰かは分かりますか?」
「リョマインです」
「何!?」
リョマインは、わたくしの異母弟だ。
しかも、ローゼンハーツ様の娘の夫でもある。
もしやしたら、わたくし達にも影響が出るかもしれない。
「今すぐ、皇殿の官長に伝鳩を送ります」
「感謝します、フェアンツェ様。お礼と言ってはなんですが、其方の聖杯に魔液をお溜めしましょう」
聖杯とは、魔力を溜めるものだ。
魔力を溜めるには、魔力を魔液と呼ばれる液体にしなければいけない。
それはとても時間と労力がかかる。
「助かります。では、そろそろお時間もきました故…」
「春の女神、コリンナターリアの訪れが一刻もはやくなりますよう」
「春の女神、コリンナターリアの恵が充分に受けられますよう、お祈り申し上げます」
貴族の長い挨拶を終え、退室していくローゼンハーツ様。
わたくし達もうごかなくては。
「メリーサ、行きましょう」
「はい、フェアンツェ様」


今日は、一段と静かな夜明けでしたが、一段と騒がしい一日が始まりそうです。

9/11/2024, 6:26:53 AM

《幼馴染》

軽快なリズムの音楽の音が聞こえる。
僕はなんとなく踊る気にはなれなかった。
だって_______


初恋の人がこの国の王子と一緒に踊っていたからだ。



僕は、数合わせか知らないけど、微塵も興味のない舞踏会に、強制的に行かされた。

最悪だ。なんのためにこんな面倒なことをしなくてはならないんだ?

時間と金と労力の無駄!!!

はあ、もう帰ろう。バレなければいいのだ。
帰ろう。

そう思って振り向いた瞬間、僕は帰るのをやめた。


そこには僕の幼馴染で初恋の姫___________エラがいたからだ。


長い金色の髪をふんわりと束ねて、耳にはダイヤの耳飾り。白い肌に薄く化粧をして、唇には紅がさされている。透き通るような水色のドレスにはラメがついていて動くたびに眩しい光を放つ。何よりも見惚れたのが_____ガラスの靴_____その靴はエラの足にピッタリで、神々しい光を宿していた。ドレスのスカートがふわりと浮き上がる時に微かに見えるガラスの靴はなんともロマンチックで美しい。

美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美(省略)


そうだ!ダンスに誘えば…もしかしたら…なんか進展が…

「ねぇ、エラ、あの…」
「そこのお嬢さん、僕と踊ってくれませんか?」

はぁ!?お前なんだよ、僕の方が先だっただろ!?横取りはずるいぞ!!!

エラを横取りされたことに対する怒りで僕は何も考えずにその男に言った。

「ごめんなさい、僕の方がさ…き、に……なんでもありません、人違いでした。申し訳ありません、"王子殿下"」

まさか横取りした奴が王子だとは思わないじゃないか。だろ?

そして僕はもうここにいる理由もないし、帰ろうと思ったが、エラの姿を目に焼き付けておきたい、と思い帰るのはやめにした。



そして、今に至る。


ヤケクソになって今はその辺にあった菓子を平らげることに取り組んでいる。今はもう四皿目だ。

はっ、すごいだろう?(ドヤ)
ぜってー王子はこんなことできないだろ?はっはーん!

「ん?」

調子に乗ってエラと王子の方を向いたらあまりの光景に喉を詰まらせそうになった。

(それでぼくが死んでたらあいつら殺人だぜ)

僕が目にして死にかけた光景は…
エラが赤面して王子と密着しているところだ。

(浮気者め!エラ、あとで覚えてろよ)

僕はある計画を実行することにした。
いつか忘れたが、自分の妻が浮気した場合に実行する計画を作っておいたのだ。

え?
エラはまだお前の妻じゃないと?

わかっているよ、そんなこと。だが、こんな過去があったら妻同然なんだよ。




春のこと。
エラは僕を野原に連れてきた。
そこでエラはこう言った。

「わたし、あなたのことすき!けっこんしましょ!」

エェェェェェェェラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ忘れたとは言わせんぞ…!‼︎

あいつは、はっっっっきりと「結婚しましょう」と言っている。

しかもこれが僕の初恋のきっかけだ。

浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮気者浮(省略)



で、その計画というのが…

お祝いとして菓子を渡すがそこに毒…ではなく、睡眠薬を入れて少々説教をする。

はあああああああ、なんと優しいんだ、僕は。



家に帰ってまずは、母の部屋に行き、こっそり睡眠薬を取り出す。母は不眠症なので、部屋に常備している。
そして親戚からもらった菓子に睡眠薬をまぶす。
綺麗に包装紙に包んで…

よし!準備OK!
























「なんでだよ!なんでこうなったんだ!!!!」




僕の震える手にあるのはエラの遺体。


睡眠薬と間違えて猛毒を入れてしまったようだ。


エラの綺麗なドレスには血がべっとりとついている。



苦しかったろう



ごめんなさい。許してくれないよな。だってこんなことしたから…


嗚呼、思い浮かぶ。





エラの笑顔が。


このお菓子に、猛毒があるとは知らず、受け取った時の嬉しそうな笑顔が。

小さい頃に結婚の約束をした時の笑顔が。





僕はあまりにも大きな喪失感に襲われてそこを動けなかった。


お題 喪失感

9/9/2024, 1:45:51 PM

《宝石屋》

カランカラン

「いらっしゃいませ〜」

私はマリティア。下町では有名な宝石屋の娘よ。

今日はどんな方がいらしたのかしら?

貴族の方かしら?それとも知り合い?
もしかしたら王族の方が…いやいや、ない。
王族だけは絶対ない。

ん?今日のお客様は、どうやら貴族の方みたい。
それにしてもイケメンだわ〜♡

「何か贈り物を探しているんですが、何か良いものはありませんか?」
「どなたに贈られるものですか?」
「婚約者なんですけど…なかなか振り向いてくれなくて…」

あらあら。どんな方なのかしら?これほどのイケメンを拒絶するなんて。

そうねぇ。"婚約者"に対して贈るもの…やっぱり身につけられるものがいいわよねぇ。

「それでしたら、こちらのネックレスや、指輪、イヤリングなどがございます」
「なるほど…ではネックレスにしようかな」
「かしこまりました。何かつけたい宝石など、ございますか?婚約者様と、お客様の瞳の色の宝石などはいかがでしょう?」
「そうだな、そうしよう」

あらぁ〜、それじゃ、このかたの瞳の色は緑のアメジストがピッタリね!うふふ…すごい儲かるわ…ふふっうっふふっ…

「お客様の瞳の色と同じ宝石は…こちらですね」

さりげな〜くこの高級品をおすすめする。
この、さりげな〜くが大切。商売の基本よ。

「緑のアメジストか…青色の宝石はありますか?」
「婚約者様の瞳の色は青色なのですか?」
「ええ。透き通ったような綺麗な青です」

透き通った…青…ねぇ。うーん、難しいなぁ。

「青でしたら、アクアマリン、サファイア、インディコライト、パライバトルマリンがございます」
「では…アクアマリンで」
「承知いたしました」

それにしても、婚約者様は綺麗な瞳の色をしてらっしゃるのね。いいなぁ、私、茶色だから…憧れちゃう。

「では、緑色のアメジストとアクアマリンでネックレスをお作りしますね」
「もう一つ、何かこの二つの宝石を引き立てる宝石とか、ありませんか?」

緑と青を引き立てる…王道で白…とか?白なら真珠ね。あっ、そう言えば…

「そうですね…真珠などはどうでしょう?ちょうど、昨日に届いた珍しい形の真珠がありまして…少々お待ちくださいませ」



「お待たせいたしました」
「ああ、ありがとう」
「こちらです」

そう言って私がお見せした真珠は、天使の羽のような形をしていて、二つでセットの、恋人にピッタリなものだ。

「こちらに金の金具をつけ、緑のアメジストとアクアマリンを組み合わせればよろしいのではないでしょうか?」
「そうだな。そうしよう」

ふふふっ…こんだけ手の込んだもの渡されたら困るわね…振り向かざるおえないもの。

完成が楽しみだわ〜!


しかも、


"世界でたったひとつだけ"


ですものね。

私だったら惚れ直しちゃう!



お題 世界にひとつだけ

9/8/2024, 1:17:54 PM

《天女》

ふわり ふわり ふわり…

艶のある、淡い色の髪をふんわりと束ねている。
きめ細かく、滑らかな肌に、鮮やかな花が描かれている。
ぷっくりとした唇には、鮮やかな紅がさされている。

彼女は天から舞い降りてきた美優という名の天女。

うすもも色の透き通った羽衣を羽織って舞を踊っている。
彼女が動くたびに、なんとも言えぬ、良い香りが漂ってくる。

彼女は、天界からちょっとしたきっかけでこの世界に舞い降りてきたのだ。
そのきっかけというのが__________
石につまづいてこけた、ということだ。
故に彼女はとてもびっくりしている。
(今まで転けてもこんなことなかったのに)
実を言うと彼女はおっちょこちょいで、しょっちゅう転けていたのだ。

(とりあえず、この舞は完璧に決めなくちゃ。)

いつも、舞なんかできたってどうなるの?なんて思っていたが今回は違う。

(なんたってあれほどのイケメンがいるんだから、手を抜いてられないわ!)

ふふふ…と不気味な笑い声をたてる。

「ぁあっ!」

しまった…‼︎気を抜いてしまった。
どうしよう…転けたら痛いだろうな。
ちょうど階段の前だったから…

落ちていく。

ああ。死ぬんだ。


かあさま、とうさま、にいさま、ねえさま、ばあちゃん。


今までありがとう。


覚悟を決めて目を固く瞑る。

もうそろそろかな…




ふわっ




「え………??」

「大丈夫ですか?」


男の人の声がしたので、私は目を開けた。


そこには、あの、イケメン様のお顔が…


顔に血が集結していくのがよくわかる。

私はりんごじゃないわよ?
なんて変なことを考えながら、礼の言葉を口にする。  

「ぁりがと…」

思ったより小さな声が出た。

(おかしいな、恥ずかしくないはず…なのに)



どうしてこんなに心臓の音が大きいの?


「いえ、怪我をされては困りますので。それより大丈夫ですか?」

「はぃ…」

こんなにドキドキしたことない!

どうしちゃったんだろ…私……


「ふっ」

「へっ?」

イケメン様が突然笑ったのでびっくりしてしまった。





「そんなあなたも、可愛いですよ」

「っ…‼︎」


優しく彼は乱れた髪を耳にかけてくれる。


「ぁ…あの‼︎お、お名前は…?」

「名乗り忘れてましたね。私は、須賀宮綱縁です。以後お見知り置きを」

「あ、はい…」

綱縁さまっていうのね。
素敵な名だわ…。

「おっと、そろそろ行かなくては。では、また」



ほんと、どうしちゃったんだろ、わたし。


胸の鼓動がはやい。

病気…?


いや、




きっとこれが、かあさまの言ってた









なんだわ。


お題 胸の鼓動

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