『落ちていく』
星の光も、月の明かりも見えない夜
雨粒がフロントガラスを滑る
いくつもの流れが刻まれて
新たな流れがまた刻まれて
5分もすれば、さっきまでの流れは消えてしまう
そうしてすべの軌跡は消えてしまうのかな
降りしきる雨はどこへ向かうのか
ただただ、地面を求めて降りしきるのか
何も考えず、何も望まず
降るままに、重力に惹かれるままに
雨と同じように生きられたら楽だろうか
落ちるままに、流されるままに
雨が降る、雨が落ちてくる
僕の心も流してくれないか
何も無いところへ
何も感じないところへ
何かに惹かれるままに
ただただ、深いところへ落ちていく
そう望むのに
そうありたいはずなのに
落ちるところへ、落ちるままに
そう望んでいるはずなのに
何故、こうも落ちないように足掻きたくなるのか
落ちることはできないらしい
雨のようになれたらいいな
『夫婦』
11月22日
いいふうふうの日
語呂合わせだそうだ
いい夫婦とはなんだろう
いまの自分には難しい問いだ
何が正解なのかよくわからない
このお題は、いまの自分には難しすぎて向き合えそうにない
まだ創作物として昇華出来る段階に自分がいない、ということを理解させてもらえたお題だった
『どうすればいいの?』
どうすればいいのか、そんなことがわかれば苦労はない
それがわからないから自問自答するし
「どうすればいいの?」と人に尋ねもする
自分で答えがでないときは、人に言葉を求めるのもいいだろう
しかし、答えは自分で出さなければならない
最後の決断は自分で出した答えでなくてはならない
己の選択を人に委ねるということは、己の人生の責任を取らないということ
これほど無責任なことはない
そして、これほど後悔することはないだろう
人に委ね、人に選んで貰えば楽だろう
失敗したとしても、それを決めた人間のせいなのだから
自分で考え、自分で決断をする
そういう人間でありたい
『たくさんの想い出』
母に抱かれながら食事をしている
自分が何を想っていたのか
母がなんと言葉をかけてくれていたのか
他に誰がいたのか
何を食べていたのか
何も思い出せない
それでも温かな気持ちは思い出せる
そんな、一番最初の想い出
新潟のゲレンデで父と共にソリに乗っている
自分がどんなウェアを着ていたのか
父がどんなウェアを着ていたのか
どんな寒さだったのか
何も思い出せない
ただ、青いソリに乗り、サングラスをした父がいて
とても楽しかったことは思い出せる
そんな、幼少期の想い出
小学校で友人と喧嘩している
何故喧嘩になり、殴り合ったのか
他に誰がいたのか
思い出せない
しかし、殴り合いをする興奮と痛み
その後、仲直りをしたであろうこと
その友人とはいまでも親友であることはわかる
そんな、少年期の想い出
海辺で女の子と座っている
どういう経緯でそこにいたのか
覚えていない
ただ、その子が初めて付き合った人で
それが切ない結末に終わったこと
その後の人生で交わることが無いこと
少しの胸の痛みがあることは覚えている
そんな、青年期の想い出
家で妻と喧嘩をしている
家の片付けをするとかしないとか
そんな些細なことが原因だ
いつものことだ
いい加減疲れを覚える
それでも仲直りし、一緒に夕食を食べた
申し訳無さと、少しの不満とが残る
そんな、昨日の想い出
たくさんの想い出がある
たくさんの想い出の一つ一つ
それらがいまの自分を形作っているのだろう
本当に?
この想い出はホンモノ?
もし、たくさんの想い出達が
全ての物が自分の脳が作り出した幻想だとしたら?
何が本当の想い出で、何が本当の自分?
誰にもわからない
僕にもわからない
虚飾の想い出
『はなればなれ』
わたしとあなたは、はなればなれ
あれほど一緒と誓ったのに
わたしと離れる事は無いと言ったのに
君と私は、はなればなれ
あれほど一緒と誓ったのに
君と離れることは無いと言ったのに
あなたはわたしを連れに来て
わたしの手を引き坂を行く
あなたは誓ったはずなのに
私は君を迎えに行った
君の手を引き日の本へ
君を連れて行くと誓ったのに
あなたは誓いを破ってしまった
だから、わたしは帰れない
わたしは醜い女となった
私は誓いを破ってしまった
だから、君を連れてはいけない
私は愚かな男となった
わたしとあなたは、はなればなれ
永遠の闇に遮られ
二度と交わることはない
君と私は、はなればなれ
大きな岩に隔てられ
二度と重なることはない
あなたは生を
君は死を
わたしと私は表裏
わたしとあなたは、はなればなれ
君と私は、はなればなれ
それが普遍の理ならば
どれほどはなれていようとも
いつも隣に有り続けよう