すれ違う瞳
初めは仲の良い友達で、次は仲の良い親友になった。
次第に共通の趣味に没頭し、小さい見栄が絡んだ些細なウソ事すら互いの秘密になった。
無言の約束、無言の誓い、無言の敬愛、無言の慈愛。
いつしかそれらはズレていく。
小さな不安感と小さな違和感、ささやかな嫉妬、ささやかな驕り。
いつのまにこんなに変わってしまったのだろう。
私も、貴女も。
過去の私を見てる貴女と、貴女に過去の面影を探す私。
決して交わらないすれ違いの瞳に、胸が苦しい。
bye bye…
ロミオメールというものがある、別れた男からの未練がましいメールやLINEの文章のことだ。
そんなロミオメールが届いたのは私が元彼と別れた半年後。
やれ、挨拶もなしにいきなり会いたいと言ってきたり、どれだけ愛してるか語られても。
気持ち悪いを通り越して逆に笑いのネタでしかない。
友達に困ったフリをしてスクショを送ると案の定、爆笑していた。
今は既読無視作戦中だ。
既に男や気になる奴がいるのか、とか色々送ってきては疑心暗鬼になってきている。
そして最後、
『bye bye…』
で、ようやく通知が途絶えホット一息つく。
やかましいわ。
一生私にかかわらず、自己陶酔に浸ってろよアホが。
君と見た景色
子供達が大きくなり、巣立った後には貴方と私の2人きり。
貴方はいつも家族旅行に行くと疲れたと言って、ホテルから出て行きませんでしたね。
思い出せば、お金もなく新婚旅行もしていなかった私達。
今日は2人きりの旅行で、普段からぐうたらな貴方が珍しく山に登ろうと誘ってくれたから。
頂上までゆっくりと2人で時間をかけて登っていく。
はじめて貴方と見た景色。
私は忘れませんよ。
心のざわめき
ある程度作品を読むと人柄が見えてくるという。
私は場合はある程度の文章量を読むと、文章のクセが脳内で色やカタチや香りなどのイメージに変換できる。
例えば、仄暗い中にも純粋さがみえるあの人の文章はどこか文学的で、桜の香りがする。
例えば、2次創作を元に発想を飛ばすあの人のまっすぐな文章は、黄色いセロファンで蓋をしたプレゼントの箱みたい。
心をざわめかせる文章はどこか、個性的でそれぞれ美しい。
星
拝啓、私の赤ちゃんへ
はじめまして。
貴方がこれを読む頃はもう立派な大人ということなのでしょう。
私はもうすぐ病で死にます。
死ぬことは怖くないです、寿命は等しく皆にあるものだから。
星にも寿命があるそうですよ。
小さい星は力尽きて黒くなるけど、大きな星は大きな力で爆破し、ガスとなりやがて新しい星の材料になるといいます。
私も貴方という星を生む、大きな星になれたかしら。