現実逃避
逃げたい、戦いたくない、傷つけたくない、傷つきたくない。
ただひたすら眠っていたい。
永遠に永遠に。
とぷとぷと、眠りの淵に記憶を溶かして。
息すら忘れて、深く深く黒く意識を塗り潰して。
二度と目覚めぬ夢を見る。
ああ、なんて贅沢な現実逃避(二度寝)!
君は今
叔母は歳をとらない。
それを知ったのは僕が10才の時だった。
不幸な未熟児で生まれた叔母は、10才の精神年齢で時が止まっていた。
「だからね、貴方が守ってあげてね」
母は僕にそう告げたときから、叔母は僕の『特別』だった。
しょうがいの人って可哀想って言ったアイツと喧嘩をしたり、寂しいと叔母が言ったら側にいた。
永遠に10才の叔母、幼い頃はお姉ちゃんで、今は小さな守ってあげる女の子。
祖母が亡くなったときには
「お母さんが居なくても○○君がいるから平気」
と涙をぬぐいながらも僕のことを頼りにしてくれていた。
その頃には家の方針で近くの施設に叔母は預けられていたが、時々は様子を見に行き笑顔を見せていた。
やがて僕の母の兄妹達も、母すら亡くなり、ついに叔母もたった昨日ガンが元で亡くなった。
永遠の小さな女の子は煙と共に立ち昇り、空で家族と一緒にいるのだ。
君は今、幸せですか?
今日にさよなら
悲劇のヒロインなんか嫌いだ、
悲しみにくれてなんの生産性もなく、他者にすがる
自分の悪いところなんて1ミリもないみたいな顔して
ただ不幸を嘆くばかりで
足掻く力もない、自力で生きる力もない
そんな自分が大嫌いだ
夜が来る、明日が来る
大嫌いな自分と向き合う日がいつか来る
悲劇のヒロインぶった仮面を破りたいと願うなら
今日にさよなら
kiss
『真実の愛の口付けで、姫は目覚める』
冒険の途中にある茨の城を踏破していた勇者は困惑していた。
寝台の横に書かれた紙をしげしげと眺める。
「初対面の女性の寝込みを襲うのは、どうかと思うし…知らない人を愛せというのも無理難題だよなぁ」
愛らしい顔で寝ている姫の姿は可哀想だとは思うが、あまりダンジョン制覇とは関係ない。
「よし、ミッションにこの呪いをかけた魔法使いを倒すことを追加しよう!」
呪いを解く手っ取り早い方法を判断してからの、勇者の行動はすさまじかった。
魔女を倒した勇者は目覚めた姫からしつこくキスをねだられたが、のちに村の幼馴染との結婚式で真実の愛を捧げるキスを交わした。
海の底
夢想する。
一緒に海に沈もうと、甘いささやきをくれた君と。
何も考えず、何も思わず、何も感じないまま。
青い、青い、海の底にただよう夢。