“終わらせないで”よ
「私たちのだいすきなこの、帰り道を」
君とはじめて一緒に帰った、この通学路
朝偶然会って、一緒に渡った短い横断歩道
こんな急坂、登りたくないねと話した校門までの坂
机を寄せ合って昼食をとった、私たちだけの座席
君と2人で放課後残って勉強した、あの教室
涙が出るほど笑い合った、2年間の部室
土砂降りの中手を繋いで渡った、帰り道の橋
2人だけでピアノを弾いた、音楽室
放課後一緒に買った、よくわからないマスコット
全部が大好きなんだ、君がいればそれでいい
この女子高校生活ももう終わってしまう、けれど、でも
どうか、まだ“終わらせないで”。
私に唯一吹きこんだ愛の形、友人という歪な形だけれども、それでも私は君を好きでいた。
最後なんて来ないあの通学路を幾度も渡らせて
この偶然だって何度でも引き寄せて朝に会おう
今思えば、急坂を聳える校門も全てが輝いていた
私たちだけの座席は朝行くたびに幸せだった
教室だってそれはそれは、明るかった
私たちの部室はいつも華やかで、今でも憩いだ
もう一度雨が降ったら、相合傘をして
今度からは君の家でまた、ピアノを満喫しよう
おそろいのマスコットも大切に飾って
わたしは“終わらせないで”なんて我儘をいいつつも、
心のどこかでそれを受け入れて、“終わったとしても”
また君と巡り会える運命を願う、我儘を連ねている。
私はきっと、ずっと我儘なままだ。
何年後だって君と2人で歩きたいよ
「私たちのだいすきなこの、帰り道を」
“微熱”
彼の動く眉、彼の高く綺麗に通った鼻筋、彼の舞うような身振り手振り、彼の不揃いな髭、彼が脱ぐジャケットとダウンの擦れる音、彼の教科書ページを巡るごつごつとした指、彼のペンを持つ手、彼のあまりにも聴きやすすぎる声。少し彼のことを思い出しただけで、こんなにも好きなところが溢れ出る。
どうしてわたしは14歳も上の男性を、こんなに愛おしいと思ってしまうのだろう。
いや、しかしそうではない。
14歳だからこそ魅せられる、余裕に溢れた彼だからだろう。だとしても、彼が愛しくて仕方がないのは、変わらない事実だ。好きだということも、愛おしいと思うことも事実。では、胸の鼓動を感じるのはどうしてだろう。寝不足による、動悸だろうか。
いや、しかしそうではない。
わたしは、最初から、恋の“微熱”にやられていたのだ。
全てはこれで片付く。私から彼への、今は報われない、一方的な恋の“微熱”であるということに。
“セーター”
すごく寒い冬の日。どうしてもわたしは制服の上から着るものがなかったものですから、母の“セーター”をもぎ取って、学校へ着て行ったことがありました。あまりにもわたしにぴったりのサイズだったものですから、母も叱らず「似合うね」とだけわたしに伝えてくれました。
こういったように
偶然だったはずたけれども、ものすごく運の良い出来事が人生にはたくさんあります。
というか、全てが偶然で、人生は運の良いことばかりの積み重なりだと思っているんです。いや…というよりも、全てが必然で、こうなるべくして、あなたは今こうなっている…というのが、わたしの思想です。
私が何を言いたいかというと
わたしのこの文章をあなたが目にするのは前から決まっていて、おおよそ1分ほど、わたしの思想に耳を傾けることになるのは、必然の運命だということです。
「どうすればいいの?」
好きだと思っていた彼とのお出かけが次の日曜で、なんだかだんだん行きたくなくなってきて、仮病使おうと悩み始めてる。けど、行ったら楽しいとわかってる。けどもう全然行きたくない。もう、「どうすればいいの?」
“冬になったら”
もう季節も冬なのね
最近は試験勉強に生徒会行事、部活の活動も重なって、このアプリを開く機会が全くと言っていいほどありませんでした。この1年間、あっという間でした。
“冬になったら”、寒さで凍えて、マフラーに顔を埋める可愛い君も見てみたいし、私が「寒い」って呟いて、「じゃあ手繋ごうか」って余裕ぶった君もみてみたい。
けれどもうすぐ、春が来てしまうね
また君に出会えた季節に戻る。もう一年しか、女子高生として君と思い出を紡げない。それしか、残ってない。春夏秋冬、どれも私の隣には君がいてくれた。寂しい思いを抱えながら帰る私に「再来年は、ドライブ行こうよ」と、当たり前に会える約束を出してくれる。そんな君が愛おしくて今日もまた、あっという間な1日が終わる