“終わらせないで”よ
「私たちのだいすきなこの、帰り道を」
君とはじめて一緒に帰った、この通学路
朝偶然会って、一緒に渡った短い横断歩道
こんな急坂、登りたくないねと話した校門までの坂
机を寄せ合って昼食をとった、私たちだけの座席
君と2人で放課後残って勉強した、あの教室
涙が出るほど笑い合った、2年間の部室
土砂降りの中手を繋いで渡った、帰り道の橋
2人だけでピアノを弾いた、音楽室
放課後一緒に買った、よくわからないマスコット
全部が大好きなんだ、君がいればそれでいい
この女子高校生活ももう終わってしまう、けれど、でも
どうか、まだ“終わらせないで”。
私に唯一吹きこんだ愛の形、友人という歪な形だけれども、それでも私は君を好きでいた。
最後なんて来ないあの通学路を幾度も渡らせて
この偶然だって何度でも引き寄せて朝に会おう
今思えば、急坂を聳える校門も全てが輝いていた
私たちだけの座席は朝行くたびに幸せだった
教室だってそれはそれは、明るかった
私たちの部室はいつも華やかで、今でも憩いだ
もう一度雨が降ったら、相合傘をして
今度からは君の家でまた、ピアノを満喫しよう
おそろいのマスコットも大切に飾って
わたしは“終わらせないで”なんて我儘をいいつつも、
心のどこかでそれを受け入れて、“終わったとしても”
また君と巡り会える運命を願う、我儘を連ねている。
私はきっと、ずっと我儘なままだ。
何年後だって君と2人で歩きたいよ
「私たちのだいすきなこの、帰り道を」
11/28/2024, 10:32:05 AM