海老body

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6/26/2023, 3:13:34 PM

容疑者■■とその友人青木の会話記録
2027年 6月26日 居酒屋らいだーにて

■■「元気?」
青木「…へっ、お前■■?!うわ久しぶりだなー!中学以来…だから6年ぶりとか?まじで懐かしー」
■■「はは、はしゃぎ過ぎでしょ。ていうかさ、俺お前にずっと聞きたいことあったんだよ」
青木「なんだよいきなり。あっ…もしかして、校長カツラ事件お前が犯人だったとか…」
■■「最近、強姦事件があったの、知ってる?」
青木「……なにそれ。知らないけど。ここら辺そんな物騒なの?いやー怖いねー」
■■「被害者の子の名前、■■唯っていうんだよ」
青木「……お前と同じ苗字だな。偶然すぎw」
■■「俺の妹だ」
青木「……」
■■「なあ青木。俺、分かってるんだよ」
青木「分かってるって何が」
■■「お前が首謀者なんだろ?大学の後輩使って襲わせて、お前はただ眺めて楽しむ」
青木「何言ってんだよ!俺がそんなことしたとか……。言い掛かりにも程がある!し、証拠とかあんのかよ。無いだろ?」
■■「……しらばっくれるんだな」
青木「しらばっくれるもなにも!俺はやってないって!」
■■「まあまあ落ち着けって!確かに証拠なんてない。ただの俺の推測だ」
青木「なんなんだよさっきから。人を犯人扱いしにきたのかよ?!気分わりぃ。帰る」
■■「でも、証拠なんていらないんだよ。そんな遠回しにじゃなくて、俺は、俺の思うようにやる」
青木「何言って」
(何か刺すような音)
■■「うわこいつ酔ってんなぁ……。仕方ないか。女将さーん、こいつの分も一緒に勘定お願いしていい?」

その後、店内を出た二人は以降目撃情報なし。
監視カメラの映像にも映っておらず、いまだ捜索が続けられている。

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『報告書404』

6/25/2023, 12:12:31 PM

娘は花が好きだ。
道端に花を見るとすぐに駆け寄って、ニコニコしながら眺めるのだ。

今日も幼稚園の帰り、土手を歩いていた時だった。
「うわあ…きれい」
娘の声に顔を向ける。
そこには見たこともないような美しい花が一輪咲き誇っていた。始めてみたはずなのに、どこか懐かしくて。ああ、彼女に似てるんだ、と高校時代のことを思い出した。

美しくて、なんでも出来る正に才色兼備な友人。なのに、いつも自信がなさそうで。彼女の困ったようなその顔が今でも頭から離れない。
大切な友人で、ただ凄く弱くて。少し目を話していた隙に彼女は…

は、と意識が戻る。すると、娘がよたよたと花に寄っていく姿が見えた。ああ、まずい。何がまずいのかなんて分からないけど、ダメだ。彼女と似てる花を、あの時のようにしたくなかった。
「まっ、待って!」
娘は花を手折ろうとしていた。
「駄目…」
娘が、花に手を触れようとした途端、強い風が吹いた。
余りの強さに目を瞑ってしまった。
目を開けると、娘が尻もちをついている。
「大丈夫?!怪我してない?」
娘は珍しく泣き出さなかった。
その様子を不審に思いながらも、駆け足で近寄る。

「おれちゃった」
娘は花を見ていた。
そこには、根本の方から折れている花があった。風圧で折れてしまったのだろう。
「ねえ、これもちかえってもいい?」
「……どうして?もう折れちゃってるよ?」
「いいの。すぐかれちゃうかもしれないけど、おせわする!」
娘が優しい手付きで花の根を取ろうとしていた。
「あの時も、こうしてあげれば良かったのかな」
「まま、どうしたの?……かなしいの?」
「うん…悲しい…」
どうしようもなく悲しかった。
あの時の私に出来なかったことを娘は出来たのだ。
何も出来なかった私が、今更ながらなんとも薄情で、間抜けな存在に思えて。
「ごめん、ごめんね、椿、ごめんなさい……」
娘は、土手に座り込んでしまった私の背中をひたすら撫でてくれた。あったかい手。

花は露を落とした。

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『諦念』

6/23/2023, 2:27:30 PM

「子供の頃はこんなに可愛かったのに……」
「今の私も可愛いでしょ?!」

何も考えずに家を出た。
あんな自我もクソもない頃より、メイクも髪もバッチリキメて可愛い服着てる私の方が可愛くない理由is何?!
そりゃちょっと地雷っぽくて、好き嫌い別れる感じなの分かってるけど!
ああムカつく。ムカつく。

馬鹿な私は、ストレスを発散させる方法も知らない。
ひたすら走って、走って、

「こんの、クソババア!!!
 今の私がNo.1に決まってるだろー!!」

隣を走るクソガキは笑った。

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『フリルを追いかけて』

6/22/2023, 1:41:59 PM

空を仰ぐと、ただ透き通った白い空。
冬はまだまだ厳しい。私を通り過ぎる冷たい風に、ぼんやりとしていた意識が浮上してくる。
この屋上からの景色が見れなくなると思うと、どうしても寂しくなった。正直、嫌な思い出しかない場所だけれど、そんな場所にも愛着が湧いてしまったようだ。
人間てのは難儀だなあと、思う。
目線を下げると、変な方向を向く死体が一つ。
彼女も同じことを思ったのだろうか。
赤い血を流す彼女は、なんだか寂しそうな顔をしていた。

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『愛を込めて』

4/18/2023, 1:39:51 PM

生まれつき、世界はモノクロだった。
これが、普通ではないと気づいたのは3歳頃。母と一緒に信号待ちをしていたとき、噛み合わない会話から、母が最初に気づいたらしい。
私はその日、色んなことを知った。
私が見ているこの世界は健常者には見えないこと。
この世界の色は三色で、黒、白、グレーと呼ぶこと。
この世界を見ている私は、世間一般に可哀想と言うこと。
確かにそれは生活する上で不便ではあったけれど、この目を治したいと思ったことは、一度も無かった。
誰もが私のことを可哀想だと言った。これは本当は○色なんだよと優しく言った。
けれど、そんな情報などいらない。だって私は、この二色の世界を愛しているから。モノクロで彩ろれた私の世界は、健常者と呼ばれる人類の視界よりも遥かに美しくて、荘厳で、神秘そのものだった。
黒寄りの白。白よりの黒。完全に二色が混ざったような色。私にとっては色んな色があった。
ただ眺めているだけで幸せだった。
私を除くほとんどの人間はこの世界を体感することが出来ないらしい。可哀想だと思う反面、私にしか分からないという優越感があった。
なのに、

「手術は成功しました!」

なのに、親は私の意見なんて無視をして、手術の同意をした。このままでいいと言ったのに。

「貴方は色を知らないからそんなこと言えるのよ。きっと、きっと感動するわ。世界にはたくさんの色があるの。世界はもっとカラフルなのよ」

何を言っても彼女には色を付け知らない哀れな子供にしか見えなかったようだ。

「ね、目を開けてみて。きっと、感動するわ」

母に促され目を開けた。
あの世界が戻ってくると信じて。
目を開けた途端、視界に広がったのはチカチカするほどのたくさんの色。
世界がこんな派手なだけで、汚い色に満ちていたなんて。
ああ、不快、不快、不快。
隣で微笑む医者と母親にとてつもなく苛立ちが湧く。
こんなことなら、治さなくて良かったのに。
私はもうあの世界に戻れないのか。

初めて、死にたいと思った。

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『地獄』



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