「無色の世界」
色と温度と衝撃を求める私には
その世界は居心地が悪い
けれど時間を重ねると
不思議な感覚になってくるのが分かる
自分の芯にある、奥深いところから湧き上がる何かである
色はないと殺風景だ
がっかりもするだろうし
悲しく、寂しくもなるだろうし
面白くないと思う
だがしかしである
私は環境に順応して
そこに勝手に感情を高ぶらせていくのだ
″そうだ、無色なら私が色をつけてしまえばいい″
思った途端に、一気に世界は華やかになる
無色が透明に波打って、輝き出すのだ
最高に美しくね
ここから先が物語始まるとお思いでしょう
でも、私の話はここで終わるのだ
短編作品という形で
火種だけつけて終わるのだ
色づかせておいて
ワクワクさせておいて
″終わるのだ″
それが私の思っている
『無色の世界』
「夢見る心」
お人形さんになりたくて
こっそり持ち出した母の、花の香りに浸かったような臭い大きな布を全身に巻いて
髪は短く跳ねたヤンチャな髪先に
たっぷりクリームを塗ったからベタベタしてて
母の化粧ポーチの中身を思いっきり漁って
コテコテに塗りたくる顔
仕上げの口紅は
大きくはみ出した
なんなら、その口紅で頬に色付けた
鏡の前の私の顔はおばけみたいに見えるのだろうが
夢見る私には
可愛い可愛いお人形さんなんだ
お姫様ってこんな感じなんだろう
気づけば舞踏会は終わりを迎えて
時間になったお姫様は
鬼の形相の母に雷を落とされることになる
誰よりも、ずっと
重たい愛
そんな風に歪んだ目で見ないで?
私が傍にいるって決めた日から
あなたはずっと私のモノ
私から離れないで
さっきのあの娘なに?
相槌
気持ち悪よ
誰のモノだって思ってる?
あなた
これからも、ずっと
ふふふ
見てるからね?
あなたの家族、あなたの職場、あなたのプライベートを
ふふふ
見てるからね?
私のあなた
これからも、ずっと
君の目を見つめると
吸い込まれそうだ
奥の奥
深いところまで
吸い込まれそうだ
私の心、ど黒いところを見透かされて
いてもたってもいられない
冷や汗と、居心地悪い空間
でも目を逸らせない
私は負けたくないと睨み返す
絶対弱音を吐きたくない
そんな頑なな、ガチガチの心を
あっという間に砕いてしまいそう
私は思い出す
過去の泣き虫だった自分を
だから凝視できない
でも逸らせない
蕩けてしまいそうだ
華やかな色、温度
私を一瞬で溶かしてしまった
逆らえない恋