それは、君と目があった瞬間のことだ。
まさに運命とでもいうかのように、僕の胸が高鳴った。
尻尾を振り、まん丸の瞳を輝かせて、こちらを見つめてくる。
その愛くるしい姿に一目惚れしたんだ。
〝胸の鼓動〟
踊るように……踊るように?
そう、踊るように気楽に毎日生きられればいいのにね。
〝踊るように〟
学校の近くにある小さな公園。
君と隣同士でブランコを漕ぐこの時間が僕は好きだ。
今日はあの先生の機嫌が良かった、とかなんてことない話をしながら、沈んでいく太陽を二人で眺める。
ただなんとなく寄り道をした、あの日の僕の偶然の出逢い。
違うクラスということもあり、学校では顔を合わすことは殆どないのだが、お互いに放課後の公園で話すということがどこか習慣のようになっていた。
よいしょ、と呟いて彼女がブランコの上に立った。
全力でブランコを漕ぐ君は、まるで夕陽に飛び込むかのように見える。
あぁ、もうそんな時間か。
君はいつも、帰る直前にそうやって立ち漕ぎをする。
橙色の光に照らされる君の横顔が、僕らのまたねを告げるんだ。
〝時を告げる〟
これあげる、と僕の手に握らせてくれた一枚の貝殻。
初対面の僕に明るく話しかけてくれた君。
陽の光に照らされる君の横顔はとても綺麗だった。
当時の自分は、幼いながらも恥じらいと戸惑いを抱いていたなと懐かしく思う。
旅行でその海岸に来ていたものだから、たった一日のはじめましてだったのだけれど。
それでも、人生の差し色のような特別な出会いだったのだと今でも感じる。
あの日、君が僕にくれた一枚の貝殻。
今でもあの日の香りがするような、そんな気がするんだ。
〝貝殻〟
小さな溜息を溢して、今日もいつもと同じ帰路に歩を進める。
一番嫌いな曜日、そう今日は月曜日だ。
まぁ、最近では曜日関係なく億劫に感じてしまうのだが。
一週間……いや、人生は長いなぁと黒に染まった空を見上げる。
目が痛くなるほどの光だらけの街では、星の光も呑まれてしまう。
闇で煌めく光の粒、僕の中にもそんなものがあるといいな。
〝きらめき〟