枯葉は、結構好きだ。
落ち葉を踏みしめた時の、カサリとした音と感触。
松やどんぐりの木の下の土が、
枯葉の絨毯に覆われる季節。
枯葉を集めて燃やした火の美しさと煙。
感傷に浸りつつ、芋を焼いて食べた時の甘い幸せと、
終わった後の秋空の心地良さと切なさ。
新緑も良いものだが、枯葉もまた、良いものだ。
若くとも、老いようとも、それはそれなり、
その日その時を楽しみつつ日々を過ごす。
そんな風に生きていけたらと思う。
今日にさよならを告げる言葉。
おやすみ。
そう言って私たちは、毎日眠りにつく。
…毎日じゃない場合もあるけれど、
夜をどんな風に過ごそうと、今日は終わり、
明日がやってくる。
それは、朝には日が昇り、夜には沈むこの地球で、
一般的に普通と呼ばれる生活をしている限り、
確実に……だめだ。眠たくなってきて頭が働かない。目を開けていられない、瞼が落ちる…。
おやすみなさい、また明日。
私は、普通と呼ばれる生活を送っている、一般市民なのだ…。
お気に入りのもの。
赤いヘアピン。
水色のパーカー。
オレンジ色の靴下。
キャンディみたいに裾が絞られた、膝上丈のパンツ。
これらから私が連想するのは…
大好きなあなた。
あなたのことが大好きになってから、
見える世界が変わったんだ。
もともと、綺麗な色だな、とは思っていたけれど、
今まで自分で身につけたい、と思うことはなかった、
気にとめたことのなかった色のもの。
ショッピングに出掛けると、私の視線は無意識に
水色のものに吸い寄せられるようになって。
あなたにぴったりだ!と思うものを見つけた時は、
自然と口角が上がって、
目を爛々と輝かせてしまっている自覚がある。
自分には水色は似合わないと思っていたけれど、
そうじゃないことに気が付けて良かった。
あなたに似合う色が似合わない私じゃなくて、
ほっとしているよ。
ティ◯ァニーブルー、なんて呼ばれてるあの色は、
今の私が見たらもう、あなた色にしか見えなくて。
その色を見ると何となく嬉しくなって元気になるし、
今まで使っていたものにたまたまそれっぽい色があることに気付くと、途端にうきうきしてくる。
大好きな人ができると、
好きなものが増えて、
お気に入りのものが沢山できる。
好きになるって、すごく幸せなことだなぁ。
誰よりも、あなたは輝いて見える。
それが“私にとっては”という限定的な輝きである
という事に、私は気付かない。
だって、私にはあなたしか見えていないから。
恋は盲目、というのは本当の事ね。
私の目にはあなたは輝いて見えるから、
あなたが何処にいたって、
例え埋もれるくらいに沢山の人がいたって、
その光に導かれるように、居場所がわかってしまう。
どんなに騒音が響く場所でも、
この耳はあなたの声を拾い逃しはしない。
不思議ね。何かの魔法にでもかかったみたい。
でも、本当にいい心地。
ずっと魔法にかけられていたい、だなんて。
そんな風に思ってしまうの。
10年後の私から届いた手紙。
そんな不思議なものがあるものか、と思っていたが、
実はここにある。
どうやら10年後には、
このまま発展し続けるとなんかやばいことが起きそう、と考えた人間たちが立ち上がり、
高層ビルを破壊して周り、
道路をコンクリートから土に戻し、
木を沢山植えて(そこはご丁寧に花粉が出ない木を植えているらしい 案外優しい)、
日本を江戸時代の街並みに戻そうとしている、らしい…。
…本当だろうか?流石に嘘だと思う…。
いや、これを送ってきたのは10年後の私であるはず、
だって文字が明らかに私の文字………。
…まぁ、嘘でも本当でも、どちらでもいいか。
10年後になればわかることだ。
未来を知ってしまうなんてつまらないだろうと考えて敢えてこういう事しか書かなかったのかもしれない。
とりあえず、10年後の私も息絶えることなく、元気そうなようで何よりだ。