刹那
私は中学3年生。
幼い頃からずぅっと運動するのが大好きで、陸上をバリバリやっていた。
その中でも大好きなのが"棒高跳び"跳べば跳ぶほど記録が伸びて、空中にいる時はまるで本当に飛んでいるかのようにも感じられた。
中学1年、総体で惜しくも記録に届かず敗退。
中学2年、努力の末、準決勝まで上り詰める。
そして今年。
今まで積み上げて来たもの、長いようで一瞬だったあの練習
この総体で最後。
会場に入るとたくさんの学校の生徒が来ていた。
友達を応援する人、家族、先生。
私の知り合いもちらほら来ている。
心臓の音がうるさい、何度来てもこの空気感には慣れない。
そうこうしているうちに競技が始まり、あと少しで私の番。
この待っている時間がとてつもなく長く感じる、あ...前の人引っかかってる...なんて考えてる場合じゃないのに。
ピー!!!!
笛がなった。私の番だ。呼吸が浅い。心臓の音がうるさい。
冷や汗が止まらない。
これで"私"が決まる。
助走、そして、跳ぶ。
ピー!!!
あれ...?終わり?終わりの笛がなった。私の横には
ハードルが落ちていた。
結果はハードルに引っかかり、初戦敗退。
これで終わりじゃない。次は高校を目指して練習を始める。
「私は諦めないよ。あなたはどう?」
クラスで地味な子が最近、一軍女子に絡まれている。
一軍女子たちは楽しそうにきゃらきゃらと女子特有の高い笑い声をあげていたが、地味な子はそれを迷惑そうに、愛想笑い。
僕はそれを見ていて気分が良くなかった、このままだとエスカレートしていじめにつながるのではないか、と思い。
良かれと思って、
「おい!や、やめろよ!」
女子の前に立ちはだかった。
女子たちはどこか驚いた顔をしていた。それと同時に嫌悪とも取れる表情をしていた。
でも僕はヒーローになったつもりでいた、だっていじめが起こる前に止められたのだから。
きっと地味な子も救われたに違いない、そう思い顔をあげその子の顔を見た。
あれ?
なんで?
どうしてそんなに他の女子と同じように嫌な顔をするんだ?
良かれと思って、君のためにしたのに、これはイイコトなのに?
僕が黙っていると、彼女は口を開いてこう言った。
「今みんなで話してるだけなんですけど?迷惑なんで辞めてくれません?」
「お、言うね〜」「流石だわ」
女子がひゅーの口笛をふく。
その日から彼女はあの時の女子たちとつるむようになった、相変わらず愛想笑いのように笑う彼女を見て。
「僕のしたことは悪いことなのか?」
今日も僕は教室の隅、一人で、小説を読む。