ちらほらと桜が混じる空を下敷きに 卒業スピーチでも書くか
ひとりになるのと 大人になるのは 不思議と不可思議くらい違うよ
これからは 地元と東京 って意識が心の中に巣食うのかー
思い出に耽っているため 靴紐がほどけやすくなっております
語ること そんなになくてもよかった 君がいたずらしてくれるなら
コンビニを手ぶらで出る あんまんの姿は見えずに 爛漫と春
-春爛漫-
七色のフシギ
赤い夕陽と熟した林檎が同じ大きさに見えるのはどうして?
オレンジリキュールがオレンジ色じゃないってほんと?
黄色のヒヨコはなぜすぐに大人になるの?
緑のカーテンは木漏れ日鑑賞用?
青い春っていつから始まる?
藍の中からどうやって抜きん出るの?
紫がかった煙は簡単にもみ消せる?
-七色-
No.46:『記憶』
頼りない記憶を
とりだして眺めている
お姉ちゃんの宝箱を勝手に開けた
小さな頃のように そっと
壊れそうな記憶を
慎重にひろいあげる
ティンカーベルの魔法がかかった
ビーズの指輪を 隠れて試した日のように
うっとりしながら
ささやかな記憶のかけらを
繋ぎあわせて 大きくなる ときめき
No.45:『もう二度と…』
もう二度と萎まない風船みたいな心が欲しい
しょぼくれた顔してたら
桜の花にも気付けない
春風は 冷たいけれど
白鳥は 帰りつき
燕は やって来る
高く飛ばなくていいから
僕の心も ふわふわと
空を飛んでゆけ
No.44:『雲り』
あたしいい子になりたくない。
どうでもいい子なんて、いやだ。
降り出しそうな予報でもオープンカーで迎えにきてよ。
あの娘の代わりに助手席に乗って、あなたの風を感じてみたい。
月の光も通さない分厚い雲に覆われた日曜日は、拗ねた顔でも隠しておける。
誰かに見られてもいいの。
恋人に間違えられたらそれでいいの。
あたしは聞き分けのいい子じゃないんだから。