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12/9/2023, 11:40:46 AM

#手を繋いで


    ······ザザンッ    ザザンッ·····


       寄っては引き返す


     あの頃よくふたりで来ていた


    手を繋ぎながら波打ち際を歩く


        今日も、ふたり


     ハンカチに包まれた骨と、私

11/23/2023, 11:21:18 AM

#落ちていく


落ちていく·····
     落ちていく······


       〖離婚してください〗

     落ちていく······
          落ちていく······


   〖私が結婚したのは農家の人じゃない〗

         落ちていく·····
              落ちていく······


 〖このまま行けば一番の出世頭じゃないですか〗

         落ちていく······
               落ちていく······


   〖あぁなったらもう上ってこれないゎ〗


     落ちていく·······
             落ちていく·······


  付属していたものしか見てくれなかった人たち

   ずいぶん高いところまで上っていた自分


        あんなに遠くまで······、

      ずいぶん無理をしていたらしい


        登りはもう疲れた。
      次は周りを見渡してみよう。

11/20/2023, 10:23:28 PM

#宝物


ボクの唯一の家族であったおじいちゃんが亡くなった
 

おじいちゃんはいわゆる、資産家と言う人だった。

 
亡くなった後、おじさんおばさんが駆け付けてきた···

 
「財産分与はもちろん私にもあるわよね?」

 
「弁護士はまだか?」


家族とは···? いくら富があっても、虚しい


ボクに残ったのは、おじいちゃんと過ごした


この家と、学費と生活費程度のお金、


そして、書斎の金庫だった。


「何が入っているの?早くその金庫を開けて!!」

 
教わった通りにダイヤルを回すとなんの抵抗もなく


開いた金庫。中からは、僕が小さい頃に作った工作品


両親とおじいちゃんとの写真が埋め尽くさんばかりに入っていた。


「なんだ、用はすんだわね。それじゃ、私はお暇するわね」


お手伝いさんも帰って誰もいなくなった家で、


ボクは思いでの品物を一つずつ見ていった。


覚えているもの、覚えていられないほど


幼い頃の思い出をなぞるように······


品物に埋もれるように一台のパソコン


おじいちゃんの字で

 
〖ちゃんと覚えているかな?〗


パソコンの中には100万ほどの株が入っていた。


「おじいちゃん、ちゃんと覚えてるよ。」


教えてもらった〖知識〗


これがボクの本当に相続した財産であり宝物だ。

11/2/2023, 11:32:56 AM

#眠りにつく前に



     毎晩、布団のなかで考える


     明日の朝、無事に目が覚めたら


     おいしいコーヒーを入れよう


          よい夢を

10/28/2023, 2:19:39 AM

#紅茶の香り

 
「専務、こちらは?」


「後で目を通しておくから、そこにおいといて」
 

やっとここまできた、何もかも全てを捨てて···。


それなのに、ふと香ってきた匂いに引き戻される。


「頂き物なんですけど、たまにはコーヒー以外もいいかと思いまして···、どうぞ」





〖姉ちゃん、友達から紅茶のパックもらったんだ!〗



四畳半のぼろアパート、二つ年の離れた弟


遅くまで親は帰らず、私が親代わりだった。


始めていれた安物の紅茶は、


決して美味しいとは言えなかった。





「ありがとう······· はぁ、おいしい」

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