#心の中の風景は
私は、ある施設で働いている。
そこは、さまざまな事情で
感情を無くしてしまった様な人々が
集まる場所……ここは実験場なのだ。
国から依頼され、人の深層心理を
映し出すための装置を作っている。
ある日、新しい入居者が入ってきた。
私に担当が回ってきたため、何気なしに
患者のデータに目を通す。
同郷のクラスメイトだった
名を呼んでも、手を握っても
虚空を見つめるだけで、反応はなかった…
数年の後 ただ一枚だけ映像が撮れた。
何気無い、本当にただ何気ない
『あの頃』のクラス風景
その数日後、安らかな眠りについた。
#足音
夢と現の狭間
廊下を歩く足音……
今年、初盆
#君が見た景色
これは、早朝の話
吸い込む息が喉を焼く
まだ辺りは薄暗く、足元を照らすライトが
唯一の道標
凹凹した山を気力だけでなんとか登る
喉を焼くほどの寒さのはずなのに、
流れる汗
頂上につき、一息つく間もなく
地平線から除くご来光…
涙が流れた。
その理由は、
#やさしさなんて
だれかの自己満足
#ぬるい炭酸と無口な君
待ち合わせ場所に選んだ
どこにでもあるチェーン店
ドリンクバーを頼み、待つ
ヒマを持て余していたとき、後ろの席から
『別れましょう』
そういった女性は返事も聞かず、
伝票を持って去って行った。
つい、好奇心で相手を見ると
泣きそうな、困ったような顔に
笑顔を貼り付けた優しい人
視線が合う瞬間、慌てて体を戻し
ストローでひと口……ぬる、マズっ
そのタイミングでスマホにメッセージ
“他に好きな人ができた。ごめん”
まだ後ろに人の気配があるのを確認して
席を移り、唐突に
『よかったらこの後、飲みに行きませんか?』