#紅茶の香り
「専務、こちらは?」
「後で目を通しておくから、そこにおいといて」
やっとここまできた、何もかも全てを捨てて···。
それなのに、ふと香ってきた匂いに引き戻される。
「頂き物なんですけど、たまにはコーヒー以外もいいかと思いまして···、どうぞ」
〖姉ちゃん、友達から紅茶のパックもらったんだ!〗
四畳半のぼろアパート、二つ年の離れた弟
遅くまで親は帰らず、私が親代わりだった。
始めていれた安物の紅茶は、
決して美味しいとは言えなかった。
「ありがとう······· はぁ、おいしい」
10/28/2023, 2:19:39 AM