一つの鳥かごを見つけた
中は空のようだ
パッと見たところ
鳥かごは、元の色が分からない程錆び付いて
開けたままのドアは、キィキィと音を鳴らしている
ここにいた鳥は
中で息絶えてしまったのだろうか
それとも
今でも外で飛び回っているのだろうか
この鳥かごを見ただけの私には
何も知る由もなかった
しかし、
もし、その鳥が今でも生きているのであれば
強く、自由に生きていて欲しいと思った
友情というのは
双方が感じて初めてできる物だと思っている
私は人の粗を認めることが難しい人間だ
人間、誰しも粗はある
もちろん私も例外ではない
人は距離が近ければ近いほど、
共にいる時間が長ければ長いほど
良くも悪くも、色んな特性が見えてくる
私は、そこで見つけた粗を認めることが出来なかった
今までで仲が良かったと断言できる人は
正直居ない
理解し合えないことを認められないのだから
しかし、それでも私のそばに居てくれる人がいた
相容れないながらも、離れないでいてくれた
そこに友情があったのか、無かったのか
私には分からない
それでも、その近くにいてくれたという事実だけで
私は、とても嬉しく思う
雨上がりの空
地面は湿り、空は真っさらに澄んでいた
黒い雲は徐々に遠くへ行き
眩しい太陽は、辺りの水滴をキラキラと輝かせている
爽やかな青空は、水たまりに反射して
一面を青く染めていた
ふと足元を見てみると
一輪の、黄色いタンポポが咲いていた
花弁の一枚一枚には大きな水滴がついている
水滴には一面の青空が広がっていた
水滴の一つ一つに、それぞれの空が丸っと映っていた
この世界は青かった
しかし、タンポポは
一輪でありながら、全ての青を包み込むように
元気な黄色をただ一人、輝かせていた
タイムマシンを見つけた
過去か未来へ行けるようだが、情報はそれだけだ
もし、過去を変えられるのなら
過去に行ってみたい
後戻り出来ないことを無かったことにしたいから
……しかし、変えた結果は良くなるのか分からない
もし、そこでさらに悪い方向へ行ったら……
私は、考え始めると怖くなったので
過去に行くのはとりあえず止めておくことにした
ならば未来はどうだろう?
もし、未来にいけるのなら
そこで見た物は必然なのだろうか
変えられるのだろうか
もし、変えられないのであれば
変えられない運命を歩む
つまらない人生になるかもしれない
私は考えた末
タイムマシンには乗らなかった
今一番欲しいもの
金、愛、安心、信頼、頭脳、体力、健康
欲しい物はこれでもかというほど出てくる
強いて言うなら
幸せが欲しい