嗚呼
やがてくる明日の前で
今描く過去も夢の中
只々灯る、愛が灯る 優しく灯る
今日は今日は笑えるように
『愛が灯る』
私はモンシロチョウが嫌いでした
というよりチョウ全般が嫌いでした
なんというか、気持ちが悪くとても駄目でした
私は世間も嫌いでした
というより人間が嫌いでした
なんというか、気持ちが悪くこれも駄目でした
世の中全ての人と私が感じる幸福度も苦しみも
決定的に食い違っているように思えました
そんな時不思議な色白の青年と出遭いました
不思議とその青年と居ると居心地がよく何故か胸が高鳴りました
其れを世間一般的に云う、否クラスメェトも良く話してますが
恋愛感情と認識するのにはとても時間を要しました
その青年はモンシロチョウの様な人間でした
青年の事を何故モンシロチョウと思ったのかは自分でもよく分かりません
青年の事は好きになれました
否、モンシロチョウを好きになりました
それでも紋白蝶は好きにはなれませんでした
やはり、気持ちが悪くとても駄目だったのです
「何、1人だけいい子ぶってんの?」
「1人だけ抜けがけしないでよ」
「あの子本当は………」
「あいつのせいで、雰囲気が」
「もう、友達じゃないから…………」
やめてよ、やめて
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い
なんで、、、、、、私が?
私は私でいたいだけなのに、分かってよ!!、
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「ッはぁ、はぁ、……ッ
なんだ夢か。………………………嫌な夢見たな」
良かったいつも通りの朝
いつも通りの「おはよう」
いつも通りのノリ
いつも通りのお弁当
いつも通りの行ってきますと改札
本当に、夢であって助かったな
あの頃(中学生時代)に戻ったのかと思った
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私は昔っから凄く正義感が強かった
父親が警察官長で、それを誇りに思っていたし
同時に自分の憧れであり理想だった
いつか、そんな父の様に成りたいと本気で思っていた
だからクラスメェトが悪い事をした際には直ぐに注意をした。
そんな正しいことをしている自分の事も好きだった
友達も、朱里は凄いね……と良く褒めてくれた
凄く幸せだった…
だが、
有る事件が私の性格を180度変えた
それは午前中の英語の時間だった
後ろの席の子にプリントを回す時たまたま見てしまったのだ。
後ろの席の子が隠れて前の時間の課題をやっている所を。
彼女は確か、英語が大の嫌いだった
それで有効に時間を使おうと前の時間の課題を終わらせていたのだ
そりゃ、私だって英語は苦手な教科だった
だからやりたくない気持ちも分かる
只、こっちが頑張ってんのに他の人が頑張っていないのが自分だけ空回りしているようで嫌だった
だから、ちゃんと真面目に授業受けなよと言った
それでも彼女は聞かなかった
無視されたことに対しても段々苛苛してきて
つい大声で、「ズルしちゃダメだよッ!」と言った
それが間違いだった
私の大声に先生も気づき彼女を叱る
けれど、その時の私は清々しい気分だった
自分が誰かの欠点を指摘すればするだけこの世に正しさが増えているような気がするから
授業終わりの10分休み
いつもの様に私の所に友達が来る…はずだった
友達が来ないから辺りを見渡すとグループになってヒソヒソ話す声、私のことを見る視線があった
「あ、あれ?皆どうかしたの?」
私なにかしちゃったのかな……
一抹の不安を持って聞いた
案の定、なにかしていたようでした
「………ねぇもう良くない?」
何が?
「無理に合わせる必要も、もう無いか」
え、どうゆうこと?
「前から思ってたんだけど……朱里って面倒だよね」
「分かる〜!なんか自分だけ正義のヒーロー的な?」
「そうそう!浮いてるって気づいてなかったのかな」
「いい子ぶってるよね〜」
…………えっ、っぇ?……………いやでも…………ゎたし…が…?
なんで……言ってくれなかったの?
やめて拒、絶しないっでッ?
離れないで…………………
お願い、私をひとりにしないで…
その日から食べ物の味がしなくなった
お父さんへの尊敬もなくなった
人間として……大事なものをいくつも無くした
あの後、クラスメェトに卒業まで無視をされ、
貶され、バイ菌扱いもされた
本当に酷い思い出だな…
自分が原因とはいえ
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今は、彼女達と会わないように地方の高校に通っている
あの時から張り付き始めた笑みはもう一生治らないだろう
あの後私の正義感は消え、ノリがよく程々に勉強が出来る至って普通の高校生になった
今でも、間違ったことをする人には苛苛する
だけど、もう私はあの時のようには言えないだろう
だって傷はいつまでも忘れられないから
忘れるなとでも言うように今日のように夢に出てくる
そんなことしなくたって忘れることは無いのに…
だから、私は今日も仮面を被る
何時か周囲の正しさからの守り方を見つけるまで
将来なにしてるだろうって
大人になったら解ったよ
なんもしてないさ
初恋の日
それは奇しくも君の逮夜の日だった
燃やされる君の顔は分からないのに何故か
美しいと分かった
只、その気持ちが恋だと、気づいた時には
君は人生の階段から降りていた
この初恋を誰かに聞いて欲しくて家族に話した
お母さんに私、彼のこと好きだったみたい
というと複雑な顔をしてその場で崩れた
お父さんに私、彼のこと好きだったみたい
と言うと君が悪そうに拒絶した
友達に私、彼のこと好きだったみたい
というと何故かぎこちない笑顔で
「今はそういう時代だよね!」と言われた
好きになっちゃダメだったのかな?
まァ、元々出来の悪い私は両親から嫌われてたし
その反応は今更か
でも友達の反応が悪かったのはどうして?
否、もう。どうでもいいや
待ってて
今、逝くから
私の初恋のお兄ちゃん
※逮夜とは
火葬する日を指す