10/3/2024, 2:32:37 PM
美味しかったな。
また巡り会えたら、次は浴槽いっぱいくらいの量を食べたい。
夕食を済ませてあとは眠るだけの、ちょっとのんびりする時間帯。
何か食べたいなとソワソワして、私はあの日食べたご褒美の妄想をする。
10/2/2024, 4:05:54 PM
あの日、俺に手を差し伸べてくれた少年がいた。
返り血を浴び、白のシャツを真っ赤に染めた俺に、君は物怖じする事なく近づいた。
そして、小さなハンカチで優しく頬を拭ってくれた。
「お兄ちゃん、痛くない?」
決して声が大きいわけではなかった。
しかしその声は透き通っていて、空間を響かせる。
誰にも見せはしない、小さく震えている俺の心を包んでくれるようだった。
「痛くないよ、ありがとう」
「へへ、良かった」
あの日も今日のような大雨だった。
先ほどまで晴れ渡っていた空が、突然重い雲に覆われ激しい雨が降り出した。
傘を忘れてしまった俺は、一瞬にしてシャツがびしょ濡れになった。
「あの…大丈夫ですか?」
視界が暗くなる。
激しい雨がピタリと止まったのかと思った。
いや、傘を誰かが差してくれたのだ。
俺は、振り向かなくてもそれが誰だか分かった。
忘れもしない、泣きたくなるくらい優しい声だったからだ。
10/1/2024, 6:14:04 PM
君と歩く。
人気の少ない路地をザリ、と砂を鳴らす音を立てながら。
オレンジの光に影が長く伸びる。
何か話すわけでもなく、ただ並んで歩く。
ずいぶん涼しく感じられるようになった風を受けながら、僕は思う。これから、もっと気持ちよく君と歩ける時間が増えると。
そっと君に手を伸ばす。
君は暑いからと手を跳ね除けることなく、柔らかく指を絡めてくれた。
嬉しい。
心なしか歩調が浮きだった。
明日はどこに行こうかな。