この間、子供が声を何度も掛けてもお風呂に入ろうとしないので
「歌うか、踊るか、お風呂に入るか
さぁ、どれにするの?」とふざけて
言ったら1分後くらいに
「na na na な な なめっこ〜‥🎵」
と、弱々しい歌声が聞こえてきた。
歌うんかいっ。そして微妙に古い。
1番を歌い終わるの待ってから
「会社の人がスマホでゲームしてたの
思い出したわ」と言うと
どんなゲームだったか詳しく説明し出した。一通りの説明を終わると
「じゃ、お風呂行ってくる」と
やり切った感をだしてお風呂に向かう子供を見送った。
よく分からないが、それが子供の
“お風呂入るスイッチ”だったらしい‥。
「お母さん見てて」と子供がいう。
「見てるよ」と返事をする。
雲一つもない秋晴れの今日。
子供と自転車に乗って少し遠くの公園にきた。
その公園には、ロープで作られた
ジャングルがある。子供はジャングルに
わき目も振らず走って行く。高さは5メートル位あって、子供は怖さも知らずグイグイ登って行く。親は下からハラハラ、ドキドキで見上げている。
「お母さ〜ん、見てる?」
「見てるよ〜。」
グングン登って頂上まで辿り着いた。
下にいる母を確認して、にっこり笑顔で
紅葉の様な小さな手をヒラヒラと振る。
青い空とジャングルと子供の笑顔。
(また、この公園に一緒に来よう)
「気をつけて降りて来てねー」と
声を掛けてながらそう思った。
初めて父の涙を見たのは
祖母がこの世からいなくなった時。
祖父は私が生まれるずっと前
父が中学生の時に亡くなったらしい。
それから祖母は女手一つで
4人の男の子を育てた。
長男だった父は、近くで祖母の苦労や
生き方を身近に見てきていたのだろう。
時と共に家族の形が変わり変化しても
一緒に暮らしていた、祖母と父。
年老いた祖母の入院が長く多くなったが、あまりお見舞いには来なかった父。「男の人ってそんなものよ」と母は
薄く笑っていた。
そして、とうとう病院で祖母とお別れの時、赤い顔と赤い目をして父は
はらはらと泣いていた。
父が泣いているのを見たのは
後にも先にも、その時だけだ。
キッチンに立っていたら「ふぇ‥ふぇ‥」と、聞こえてきた。今は夕方の5時。
始まりました。うちの子の黄昏れ泣き。
この頃、夕方に泣き止まない。これが黄昏れ泣きかと‥。確信する。
あなたが2か月の赤子なら、こっちは母になって2か月の新人さ。オムツを取り替え、ミルクを飲んで、ゲップも上手にできたけど泣き止まない。暑いの?寒いの?お腹苦しいの?あたふたしてる。
母親学級や雑誌や携帯で泣き止む方法を探して試してみるけど泣き止まない。
ぐるぐる巻きにしたり、揺らしてみたり、トントンしても泣き止まない。
歌ば良いか?踊れば良いか?どうすれば泣き止むんだよ〜。こっちが泣きたいよ〜。と、天を仰いだ時夫からのメール。本日も敗北を告げる。
『今からから帰る。欲しい物ある?』
『ご飯と味噌汁とサラダしかないです。
メインのおかず買って来て下さい』
『わかった』
今日も負けた。明日は勝負に勝つ為に
晩御飯の用意は3時からの開始としよう。
小学生の時の思い出。
「机に顔を伏せて。今、先生が言う事に心当たりある人は手を挙げて下さい。」
教室全体に響き渡る先生の声は、いつもふざけるあの子の事も、反発しているあの子事も無言で押さえつける。
「はい、伏せて。薄目あけたり、覗いたりしない。先生今から質問します。」と言う。
今は、どんな事を質問されたかは覚えていない。でも、怖く、恐ろしく、不安がいっぱいで、教室を出て行きたい気持ちになる。でも、それも許されれない。
ただ、早くこの時間が過ぎる事を願っていた。
10年後、偶然に小学校の時のクラスメイトにあった時。あの先生の話しになった。「あの先生、問題になってたって後からお母さんから聞いたんだよね。うちPTAやってたから。他の親達から聞いたみたい」と薄く笑顔。「へー。そうだったんだ。」と、つられて私も薄く笑顔。
私の中の何かが少し晴れる。