十数年前、友達の家に遊びに行った時の話。
「ちょっと待って。今押し入れから出すから」と言って押し入れを開けた時
見覚えのある、白く長く大きな物が見えた。渡してもらう物より“それ”が気になって確認してみる。
「“それ”って結婚式の時の‥?」
「そう。キャンドルサービスで使ったやつだよ。」
「もらえるの?何の時に使うの?」
「そう。結婚式後にもらえるんだけど‥
結婚記念日に点火するらしいよ。
使ってないけど‥。停電になったら使うかな‥。」
と、何とも言えない顔で友達が押し入れを閉めた。
あの頃の結婚式って
ウェディングケーキ切ったら回りながら
シャボン玉やスモーク出てたなぁって思い出す。
平成も遠くなりました。
ふと、気がつくと桜の葉が
緑から黄色になり、オレンジから
濃いオレンジへ、秋色に変わってきている。
子供と公園からの帰り道。
河川敷の桜の木の横を歩いてた時
風が少し強めに“ごぉう”とふいた。
桜の黄色から濃いオレンジ葉が
ハラハラハラ‥と舞い落ちる。
「葉っぱきれいね」
「そうだねー。」と返事をする。
桜の花が舞い落ちるのも綺麗だけど
桜の葉が舞い落ちるのも綺麗なんだね。
あなたが教えてくれたから秋の楽しみが
また一つ知る事ができたよ。
テレビを見ている婆ちゃんの
隣にぴったりとくっつく。
どこにも行かないと分かっているのに
婆ちゃんのエプロンをぎゅと握る。
「そんなに怖いなら見なければいいのに」
「だって見たいんだもん」
子供の時見ていた
夏休みの特集『怪奇特集!!あなたの知らない世界』
白い手がいっぱい出たり、天井に‥。
番組を見た後は1人になるの怖くて
お風呂をいつもの半分の時間で出できたり、電気点けたまま寝たりした。
今は大人になっちゃて怪奇特集を見て「CGでしょ」なんて家族の前で言っちゃけど、やっぱりお風呂から出るのが
ちょっぴり早くなる。
私がこの世から居なくなった時
あなたが涙をこらえている顔を見て
「下唇出てる。子供の時の泣き顔と一緒。」と思うのかしら。
泣き疲れて眠った顔を見て
「唇が少し開いている。子供の時の寝顔と一緒。」と思うのかしら。
私が眠っている祭壇の前で正座して座っている姿をみて
「アンパンのテレビを見ている姿と一緒。」と思うのかしら。
どんなに大人になってもあの頃の
あなたを見つけてしまう。
「今日、とあちゃんと‥たくさん遊んだの。」と保育園の帰り道子供か言う。
「なにして、遊んだの?」と答える。
「うんとね‥。お絵描きして‥絵描いて‥
お歌歌って‥‥いっばぁーいお話したの。」
つないでない腕を回して、いっぱいを母に伝えてくれる。
子供にとって何で遊んだ事よりも
大好きなお友達と一緒に遊んだ事の方が大切だようだ。
家路につきながら、ゆっくりと子供の話しを聞ける時。
子供にとっては1日の中で母を独り占めできる時。
懐かしい思い出。