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4/24/2026, 3:49:46 PM

ルール


ルールを盲信できる良い子にもなれず
ルールを破る悪い子にもなれなかった
どっちつかずの私は今日も曖昧な態度で笑うのだ

4/20/2026, 7:00:22 PM

何もいらない


森の中にある泉にボロボロになった斧を投げ入れた。

泉の底へ沈んでいく斧をただ黙って見ていると、泉から眩く光り、若い女性のクスクスと笑う声が聞こえた。

「あなたが落としたのは金の斧ですか?それとも、銀の斧ですか?」

両手に金と銀の斧を持った美しい女神が俺に微笑む。

「いいえ。俺が落としたのは鉄の斧です」

「まあ!なんて正直な若者なのでしょう!立て続けに正直な人間に会えて素晴らしいわ!正直者のあなたには全部差し上げますわ!」

俺の回答に女神は手放しで喜び、水面を滑るように此方へ駆け寄って来た。

「……本当に全部ですか?」

俺は差し出された金の斧と銀の斧と女神を見て言った。

「勿論ですわ!」

笑顔の女神に釣られて俺も口元に笑みを浮かべながら斧を受け取ると、それをまた泉へと投げ捨てた。

女神の顔が笑顔から呆然とした表情に変わり、視線は俺から泉に沈んだ斧へ向かった。

「ありがとうございます、女神様。あ、でも俺が欲しいのは女神様だけだったんで斧は泉にお返ししますね」

俺は女神を手を優しく取って言った。

再び此方を向き、ゆっくりと後退りしながら距離を取ろうとした女神の手を引いて抱き寄せる。女神を逃さないように腕に力を入れて耳元で囁くように言った。

「偶然木こり仲間に斧を渡すあなたを見かけて一目惚れしたんです。何度か泉に足を運んでもあなたには会えず、木こり仲間に詳しく話を聞こうにも知らないと嘘をつくばかりだったんで、少し強引に聞く事になって泉に投げる為に用意した鉄の斧がボロボロになってしまい、これで本当に呼べるのか不安でしたが、あなたがちゃんと拾ってくださる優しい方でよかった」

すっかり大人しくなった女神を横抱きで抱えて泉に背を向け歩き出した。

女神の瞳には幸せそうに笑う男の顔が反射していた。

4/16/2026, 10:00:01 AM

届かぬ想い


その少女、百合は、たった十五年しか生きてないけど、自分ではあまり良い人生と言えるものではなかったと思うなと、ぎこちなく笑いながら言った。

戦争で苦労を強いられた祖父母に、豊かになった時代で大事に大事に甘やかされて育った苦労知らずの両親が出会って結婚して百合を産んだのは、この先も続くと思われた豊かな時代が年号と共に終わりを迎え、先が見えない不況の時代へ突入した年のことだった。

今まで当たり前だった生活が不況と慣れない子育てで送れなくなり、想像していた理想の家庭とは程遠い現実に両親、特に結婚するまで実家で悠々自適なお嬢様生活をしていた母親が疲れ果てて癇癪を起こすようになり、両親の仲は百合の成長と共に険悪になっていった。

百合の小学生最後の夏休みの事だった。古びた団地の狭いリビングでお昼のワイドショーを見ていた母親が、隣で麦茶を飲んでいた百合に言った。

「母さんね、あんたがまだ赤ちゃんで夜泣きがうるさいって理由で父さんに家を追い出されてた時にね、知らない若い女に襲われた時があったの。偶々通りかかった別の若い女に助けられて無事だったけど、あの時もし助けられずに死んでたら、こんな苦労せずに楽になれたのかしらね」

さっきまでうるさく聞こえていたアブラゼミの鳴き声が、窓際に吊るされた風鈴の音が、悲惨な事件を元刑事の解説を交えて放送していたテレビの音がピタリと止まり、母親の小さな声がはっきりと大きく聞こえたのを百合は今でも鮮明に覚えている。

夏休みが終わり、冬休みが終わり、卒業シーズンを迎え放課後の卒業式のリハーサルを終えた百合が家に帰るとリビングに両親が揃っていた。

何年も狭い団地の中で器用に母親を避け続けた父親が母親と向かい合っているのを、百合が珍しい事もあるものだと眺めていると母親が「大切な話があるからこっちへ来なさい」と自分の隣に座るように言った。

「大切な話って何?」

「母さんたちね、離婚するの。百合は中学生から母さんの苗字に分かって、母さんと二人で暮らすのよ」

百合の目の前に記入済みの離婚届が置かれた。

「……そっか」

苗字が変わる以外何も変わらないだろとか、娘の一生に一度のお祝いに親の離婚届はどうかと思うとか、とにかく言いたい事は山ほどあるが、とりあえず何言っても無駄だろうと百合は黙っておく事にした。

その日から卒業式までの記憶を百合は朧げにしか覚えていない。まあ、思い出す事はないので別に困る事はないのだが。

百合が通う中学校の生徒は地元の二つの小学校の卒業生が大半を占めていた。

この中途半端に見知った人がいる環境が良くなかった。

別の小学校から入学した生徒が百合の色素が薄い髪を指摘し、それを聞いた同じ小学校から入学した生徒が百合の髪だけではなく苗字と家庭環境の事までも言いふらし、それを聞いた一部の生徒が揶揄い出し、それを見た生徒が百合を遊びや憂さ晴らしで虐めのターゲットにするという最悪の悪循環が出来上がってしまったのだ。

何処へ逃げても視線と囁き声が追いかけてくる恐怖に、自分の知らない場所で知らない人間に個人情報が根も葉もない噂と共に知られていく恐怖に、とうとう百合が耐えきれなくなったのは中学三年の事だった。

中学生最後の春。桜がちらほらと咲き始めた卒業式の日。

百合が最後に聞いた声は体育館から聞こえる歌声。最後に見た景色は雲一つない青空だった。

何事もなく終わるはずの卒業式は何かが地面に叩きつけられたのような大きな音で中断された。

音の正体を知った生徒が様々な反応をする中、他校の制服を来た一人の少年が校門の向こう側から見つめていた。

「俺言ったじゃん。呼べよって」

少年は小学校の卒業式間近で百合とした会話を思い出す。

「俺は違う中学に行くけどさ、何かあったらすぐ連絡しろよ?必ず駆けつけるから」

「うん。分かったよ」

「絶対だぞ」

「うん」

4/14/2026, 3:11:02 PM

神様へ


そっちに行ったら顔面にグーパンするんでよろしく♡


あなたのアンチより

4/13/2026, 6:03:50 AM

遠くの空へ


遥か遠くにいる愛しい人
私は今から地の底へと落ちて参ります
ですので、どうか
あなたと同じ所へ行けない私を憐れと思うなら
私を迎えに来ないでください
空の上で私の事など思い出さずに過ごしてください
暗く冷たい土の中で、永遠に続く責苦を受ける中
二度と見れない太陽を慰めにできるほど
私の心は強くないのです

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