シロツツジ

Open App
2/28/2024, 4:04:56 PM

お題 遠くの街へ

どこか遠くの街へ旅をしよう

積んだままの本を持って、電車に揺られながら読書しよう

どこか遠くの街まで家出しよう

みんなが寝静まった真夜中に、こっそりバスに乗って逃げていこう

どこか遠くの街に引っ越そう

大丈夫、寂しくないさなんて空笑いしたら、窓越しに過ぎていく景色を見送ろう

どこか遠くの街ならば

名前も思い出せないほど遠くの街ならば

もういない君にも会えるだろうか

2/26/2024, 6:38:58 PM

お題 君は今

ふと思い出す人がいる

昔、一度だけ遊んだ隣町の子

犬の散歩中、よくすれ違ったおばさん

結婚して去っていった、幼稚園の先生

いつの間にかいなくなっていた転校生

無愛想で怖かった近所のおじいさん

優しくて好きだった、教育実習の先生

きっと、もう関わることはない人たち

時たまに思い出しては、平穏であることを祈る

そんな人たち

2/24/2024, 4:37:56 PM

お題 小さな命

道路に残る雪が小さくなり

コートを着なくてもいい日が増えてきた

きっともうすぐ
小さな命たちが地に出てくる

固い蕾は薄桃の花びらに変わり

静かだった庭には虫たちがやってくる

皆さん、もうすぐ春ですよ

楽しみな人にも、そうじゃない人にも、

新しい季節がやってきます

地に出て、お出迎えしましょう

1/24/2024, 2:52:10 AM

お題 こんな夢を見た

人を、殺した。

ナイフを持った通り魔に襲われて、必死に逃げた。
いやだ、死にたくない、なんでわたしが、だれかたすけて。
とにかく前へ前へ走って。
気づけば背後に迫った通り魔を、持っていたバックで思い切り殴った。
そしたら割合簡単に相手がよろめいて、バランスを崩した。
そこは橋の上だった。
へたり込んだまま、ぼちゃんと言う音をどこか遠くで聞いていた。

偶然現場を見ていた人もいて、私の行動は正当防衛として扱われた。
それでも、私は恐ろしいのだ。
通り魔が落ちる瞬間見せた、目出し帽から除く、瞳孔の開いた目が、何度も脳裏を過ぎる。
人一人が死ぬ原因になったという事実が、私の首をゆっくり静かに閉めていく。

警察から勧められたメンタルクリニックを出て、私はため息を着く。
もう何ヶ月も通っているのに、症状は快調の兆しすらない。
どころか、このままいくと悪化することもあるそうだ。
あぁ、なんで私がこんな目に

「わすれないぞ。」

足が止まる。

「おまえはいっしょう、おれにつぐないつづけるんだ。」

息が上手く吸えなくなる。
そんな、まさか。
恐る恐る、後ろを振り向く。

目出し帽が、私を呼びさして言った。

「おまえが、おれをころしたんだ。」




ぱっと目が覚める。
なぜだか、ひどく息切れを起こしていた。
「あれ、ここは…」
目の前にはテーブルと、半端に開かれた本。
それに、よだれの跡。
「…なんだ、夢か。」
どうやら、本を読むうちに寝てしまっていたようだ。
口に付いたよだれを拭い、『文鳥・夢十夜・永日小品』と題された本を、本棚にしまう。

さて、そろそろ行かないと。
あそこの橋は長いから、今日は少し余裕を持って行かなくちゃね。

12/9/2023, 3:58:02 PM

お題 手を繋いで

指を絡ませ合うような、
熱い思いではないのです

相手をグイグイ引っ張っていくような、
一方通行の思いも違うのです

あなたと同じタイミング、同じ力で

ただ、握手をするように触れ合う

重ねているだけで幸せを感じられる、
そんな愛がいいのです

Next