モテモテイケメン猫は、自分は黙っててもいつも騒がしさの中に身を置いている。
彼は、家に帰るやいなや、次のお散歩へ駆け出してしまうんだ。
彼を振り向かせようと、どれほど機嫌をとってもむなしいことだ。彼が心が動くのは彼が気が向いた時なのさ。
だって彼は猫としてのメロディに身を委ねて、わがままに生きる楽しさを味わっているんだから。
「君だけのメロディ」
他動詞loveに目的語無くピリオドがついたとしたら、英文として成立するのかなぁ。
文法的には不自然に感じる。でもコンテキスト次第では成立するのかもしれない。
まるで、アイラブに白が宿るような感覚だ。
白とは、潔さであり、無垢であり、無限であり、そして、無でもある。何者にもなれるその存在は、まさに計り知れない静けさを持っている。
もしかすると羊系の猫が現れたなら、彼らはミャアと鳴きながら、その愛を示すことができるかもしれないね。
「I love」
☆髭男のはI love……
窓を叩く雨粒を、ひとつ、またひとつと数えながら、猫は夢の深淵へと静かに潜っていく。そこは、ただただ存在するだけの世界。
時は静かに遡り、猫は魚の姿になり、自由にひらひらと流れる時の中を泳いでいる。
目の前に広がる夢の海で、銀色のゴンドラが思いを乗せて漂ってゆく。
それは、雨音に包まれた窓辺でのこと。
語ることは何もない。ただ心地よさだけが雨と巡っていくのだ。
「雨音に包まれて」
ラベンダー色に輝く満月の下、街の小さな片隅で、一匹のイケメン猫がロックを奏でる。
月夜に響き渡る歌声に、周囲の猫たちは魅了され、シッポをリズミカルに揺らし始める。
まるで深海のネコ平目のように。
美しい猫たちの幻想的なロックナイトが始まる午前0時。
君もこっそり参加してみるかい?こわくないよ、大丈夫。
「美しい」
君と歩いた道は、風が心地よく吹き抜けていた。弾む足音が静かに時を刻んでいたよ。道の向こうには、自由な青空が広がっている。
君と一緒なら、その道で跳ぼうが潜ろうが、どんなことも安心できたのさ。
それは僕にとって、日常でありながら、特別なひとときでもある道だった。
「君と歩いた道」