窓を叩く雨粒を、ひとつ、またひとつと数えながら、猫は夢の深淵へと静かに潜っていく。そこは、ただただ存在するだけの世界。時は静かに遡り、猫は魚の姿になり、自由にひらひらと流れる時の中を泳いでいる。目の前に広がる夢の海で、銀色のゴンドラが思いを乗せて漂ってゆく。それは、雨音に包まれた窓辺でのこと。語ることは何もない。ただ心地よさだけが雨と巡っていくのだ。「雨音に包まれて」
6/12/2025, 9:34:32 AM