récit

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5/27/2025, 11:46:01 PM

「最後のチャンスだと思って、挑戦させてくださ〜い。お願い」

「君、もう2回も失敗してるじゃない。最後はもうないよ」

「でも、3度目の正直ってあるでしょ〜?今度こそ、成功させてみせるから」

「2度あることは3度あるんだから、また失敗するだけだよ。この話はもう終わり!」

「ぴえんぴえ〜ん」

「これで最後」

5/24/2025, 11:39:42 PM

森の中、アビーは落とした天使の翼を探していた。
なかなか見つからず、沈む空を見上げると、どこか遠い場所から小さな音が聴こえてくる。
耳をよく澄ますと、それは森を静かに流れる川の歌だった。
川の娘の清らかな歌声が、アビーの心に癒しと勇気と恵みを与えてくれる。
そして、アビーの心の翼がふわりと広がり、空に飛び立つことができたんだ。
それ以来、アビーは時々、この川で銀のゴンドラを休めて、川の娘の美しい歌を聴いているのさ。

「歌」

5/24/2025, 12:38:48 AM

クリームチーズのコク、ナッツの香ばしさ、ドライフルーツの甘さに、塩胡椒がちょっぴりきいてる。
そして、オリーブオイルの艶やかな滴。
蜂蜜がそっとシューの中に愛を包み込む。
エディブルフラワーの彩りとスプラウトに囲まれた可憐なアントレ。

ボナペティは、幸せが始まる言葉の贈り物。

「そっと包み込んで」

5/22/2025, 2:45:07 PM

彼女が、鏡に映る自分を見てリップを塗りながら、ふと言った。
「ねぇ、なりたい自分って、完璧を目指さない方が良いよね?」

「ふーん、そうなの?なんで?」と僕は聞いた。

「だって、完璧って常にそのままの状態で固定されてしまうってことだから。なりたい自分は、いつもアップデートが求められるものだと思うの。いつだって昨日の自分とは違う自分になりたいわ」

「なるほどね」
僕は頷きながら、女の子って、やっぱり考えが深くて、でも時に面倒な存在だなと思った。

「昨日と違う私」

5/21/2025, 11:38:13 PM

彼女との出会いは、大学のワンダーフォーゲル部だった。大学時代は勉学よりワンダーフォーゲルに明け暮れていた。

そんな登山の2日目の朝はいつも、山の頂から差し込む光に、思わず僕たちは息をのんだものだった。
生まれたての朝日が、東の空から世界を金色に染め上げ輝いていて、すべてが眩しく、世界も未来も何もかもが僕たちのものかと思えた。
あのとき、僕たちは20歳で高鳴る恋をしてた。

でも社会に出た僕たちは、もう20歳ではない。
世界が自分たちだけで回っていないことを知ってしまった。金色の光だけでは語れない、複雑な現実も見えてくる。日々の中で次第に、かつての輝きが薄れていく。

心を洗いたくなって、僕は彼女を山登りに誘った。
また朝日を見に行こう。

二人で見た東の空の日の出は、あの頃と同じくやはり心を打つ美しさだった。
そして、ふと西の空に目をやると、ぼんやりと白く月が浮かんでいる。月を見て、なんだか忘れかけていた恋心を静かに思い出した。

僕たちは、東も西も同じ方向を見つめ、これからのことも信じてみようと思った。

「Sunrise 」

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