真っ白に純粋な子どもがいた。
大人たちはその子の無垢な姿に魅了され、彼を芸術作品へと昇華させようと集まってきた。
美しいまんまる球を造り出そうと、彼を中心に据えて人々はその周りを囲んだ。
彼の周りに集まることで自分たちの不足や欠落を補えると信じたのだ。
球はどんどん膨れあがり、
完璧な形へと近付こうとした。
しかしその子は少しずつ変化していく。
人々の不完全を埋めるたびに、彼自身の無垢さは完全から遠ざかってしまうのだ。
無秩序から秩序を生み出すのは容易ではない。
球は次第に混沌としていった。
結局のところ、形成された球体は、まるで子どもが無邪気に転がすボールのように、自由に道を行くのだった。
「子どものように」
秋風が冷たい時間を乗せて、街は次第に暮れていく。
時間と遊ぶように、かけっこしている毎日がどこかへ運ばれていく。
賢い猫は、周囲を見守りながら足音を忍ばせてカーテンを引く。
無音の鍵盤の上で、賢い猫はカーテンコールを朝まで待っている。
「カーテン」
無表情なグーフォの世界では色が失われていた。
灰色の景色が広がり、全ての色も音も何もかもが呑み込まれてしまっていた。
グーフォの世界に彼女が足を踏み入れると、彼女もまた徐々に色を失っていった。
いつしか彼女の胸には大きな空虚な穴が開いてしまった。
そんな自分の空虚な穴を見て彼女は泣く。
グーフォと二人で過去に共有した数多の感情が胸の穴に流れ込んで来る。
嬉しかった出来事、感動した瞬間、楽しいひととき、悲しみ、悔やしさ、切なさ、それぞれの感情を思い起こし、それらは渦を巻き涙として湖のような瞳から溢れ出る。
彼女の涙はプリズムとなって七色の光を放つ。
そうして彼女は失った色を取り戻し、その光でグーフォに再び色を与えることができた。
「涙の理由」
イケメン猫は、心が踊ることってホンモノとの出会いなんだと思ってる。
だってフェニックス君と一緒ならイケメン猫の心は自然と躍動するからさ。
隠れていた感情が一気に湧き上がって、やる気や希望が心の中で大きく膨らんでいくのを感じるんだ。
そんなふうに感じる自分をイケメン猫は少し誇らしくもあるんだよね。
「ココロオドル」
僕は、ブラック企業からホワイト企業へと転職を果たしたのだが、新しい職場のあまりの効率の良さと優秀さに圧倒されメンタルがやられそうになった。
それで再び転職を決意した。思い切って選んだのはパープル企業。
ここで、ついに僕にとって理想とする働きやすい環境を手に入れた。
何と言っても、美人社員のさくら先輩は癒しをもたらしてくれる存在だ。
彼女がのろのろと資料作成をしている可愛らしくも魅力的な姿を眺めながら、資料の完成を待つ僕の手待ち時間は束の間の休息となる。
最近、僕はライフスタイルバランスなる生き方に目覚めたようだ。
毎日が充実していて人生がこんなにも楽しいと感じることができたし、
何か趣味的な副業にも挑戦してみようと考えているのだ。
「束の間の休息」
☆創作