récit

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無表情なグーフォの世界では色が失われていた。
灰色の景色が広がり、全ての色も音も何もかもが呑み込まれてしまっていた。

グーフォの世界に彼女が足を踏み入れると、彼女もまた徐々に色を失っていった。
いつしか彼女の胸には大きな空虚な穴が開いてしまった。

そんな自分の空虚な穴を見て彼女は泣く。

グーフォと二人で過去に共有した数多の感情が胸の穴に流れ込んで来る。
嬉しかった出来事、感動した瞬間、楽しいひととき、悲しみ、悔やしさ、切なさ、それぞれの感情を思い起こし、それらは渦を巻き涙として湖のような瞳から溢れ出る。

彼女の涙はプリズムとなって七色の光を放つ。

そうして彼女は失った色を取り戻し、その光でグーフォに再び色を与えることができた。

「涙の理由」

10/10/2024, 1:33:41 PM