『思うことで変わること』
ゆらゆらと眩く光るキャンドルの火を眺める
どうしてか、暗闇の光源は美しいものだ
まるで無限に広がっているかのような暗い空間の中
存在感を持って確かにそこにいる
そのはっきりとした輪郭が美しいと人々は思うのだろう
そう思って再びそのキャンドルの火を見ると
綺麗というよりただ眩しくて
その気丈さに圧倒されて、少し苦しくなった
ふと目の前のキャンドルを何かに例えてみようと思った
暗闇に光るもの、光るもの
宇宙で燃え盛る太陽だろうか?
しかし、キャンドルを太陽に例えるにしては
この二つには絶対的に違うものがあった
しかし、それが何なのかは
すぐにはわからなかった
“存在感だ”
ふと頭に流れたその考えに
私は深く納得した
考えてるうちにいつの間にか上を向いていた視線を
キャンドルの儚く小さな火に戻す
太陽を思い浮かべた後だから
その光はとても小さく見えて
手に包んだら今にも消えてしまいそうで
その淡さは、すばらしく美しかった
こっちの方が好きだな、と思った
『想い出のつくり方』
たくさんの想い出なんて簡単に言うものの
想うことがあることがどんなに良いことか
想い出をつくるためには
楽しいだけでなく
周りに支えられて
悩んで考え込むのが
何より大切で
でも本当にそうならば
想い出って難しい
悩んで考え込めるのは
“想い出”の味を知っているからだもの
「想い出」という箱の中に
私にまとわりついている
重いものをたくさん入れる
きっとずっと楽になる
想い出に出会えないままで
両手にたくさん重いもの
それがどうにも悲しくて
苦しむ誰かに想い出を
つくってあげる方法を
私はまだ何も知らない
たくさん持っているのなら
それをつくる方法も
たくさん知ってるだろうけど
『明日もまた』
十七時半の寒空の下
考えることはいつもこう
“いつからマフラーを巻こうか”
“そろそろ手袋つけようか”
“指先が冷えて仕方がないな
さてとさっさと帰ろうか”
いつの間にやら日は沈み
布団に潜って思考に耽ける
“冬の街並みは灰色という
しかし実際見たことは無い
隣にいつもあるのだけれど”
普段私が見ているものは
冷える指先と時計だけ
いつもあるはずの景色は
まるで無いのと同じよう
冬が来たから何になる
情緒の前に春が来る
けれども情緒を感じられたら
見える世界が変わるかな
少し立ち止まってみて
ぐるっと辺りを見渡して
冬の情緒は綺麗だと
人は初めて思うのだろう
明日の夕方
寒空の下
私はきっと
少し立ち止まってみて
ぐるっと辺りを見渡して
そして何かを思うだろう
『まだ見ぬお別れ』
私はサヨナラを知らない
まだまだ学生だから
皆さん、覚えてますか?
まだ若い時のことを
別れを知らないんじゃなくて
出会いを知らなかった
出会いがわからないのだから
別れもわからないの
「はなればなれ」になったこと
思い出して 詩を書いて
新たな出会いに思いを馳せる
私にはまだ出来ません
人生の経験不足かしら
『かわいい子猫』
そこの道行くあの人は
いつもの仲良しメンバーは
そして隣にいる君は
そこでにゃーにゃー鳴いている
子猫に何を思うだろう
子猫を想う人ならば
きっとああだこうだって
そうじゃない人を見下したようなこと
私は別に言わないけれど
君が言ったらどうしよう
斜に構えている私だから
そんなことまで思うのです
純粋に「かわいい」とだけ言えたらな