でぃぐだぁ

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1/1/2026, 2:41:02 PM

「新年」

目が覚める。昨晩は除夜の鐘が鳴るまでなんとか意識を保っていたものの、年を越した途端に糸が切れたように眠ってしまったことを思い出した。しばらく布団の中で眠気と葛藤してからベッドから下り、まだ目覚めきらない体を引きずるように洗面台へ向かい顔を洗う。頭を上げれば、いつもと何ひとつ変わらない自分の姿がそこには映っていて、そんな自分を鼻で笑うようにふっと笑みをつくる。リビングのソファーに倒れ込むように座りスマホを確認する。ロック画面には夥しい数のLINEの通知が入っていた。機械的に指を動かし、定型文をなぞるように返信していく。新年だというのに、これと言って変わったこともない。ただ昨日の延長線上の今日があるだけだった。新しい年が始まったはずなのに、大きな節目だとわかっていても、「だからなんだ」と思ってしまう自分がいる。今日も実感が湧かないまま、ずるずると一日が終わっていく。

12/30/2025, 3:14:06 PM

「星に包まれて」
私は毎晩夜空を眺めることが日課だ。山奥に住んでいるため、辺りには家がない。街灯もほとんどなく、邪魔な光は一切ない。私はこの時間が大好きだ。嫌なことがあっても、どんなに心が乱れていても、夜空を見上げれば、いつも宇宙が広がっていた。それを見ていると気持ちがスゥっと軽くなり、とても心地よい。今日も今日とて外に出る。広い芝生の庭の真ん中に身を投げ出して、星を眺めた。いつもは綺麗だと思うその景色が
、今日はなぜだか違和感があった。……気持ち悪い。硝子を撒き散らしたような混沌が、そこにはあった。しかし、星の配置が変わったわけではない。何年も見続けてきた夜空だ。星座の位置も、星々の輝き方も、何一つ変わっていない。それなのに、今目に映る星たちは、勝手な場所で光り、互いを顧みることもない。私はようやく気づいた。秩序をなくしていたのは夜空ではなく、私の心だった。

12/29/2025, 3:34:37 PM

ゆっくり、瞼が降りてくる。じわりじわりと視界の隅から暗くなっていく。どうやら、人は終わりが見えると人生に後悔したり、何かに怒り、責任転換をしたり、終わりを否認したりするものらしい。爺さんが言っていた。「こんぐらいになるとな、ふと、自分の終わり方を考えるのさ。自分はどんな終わり方をするのか。俺ぁ後悔するだろうな。人生は選択の連続ってぇよく言うじゃぁねぇか。お前は、俺みたいになるなよ。常に正しい方に行きなさい。」だから、オレは絶対に選択を間違えるわけにはいかない。爺さんの最後の願いだから。オレは自分でものを決めたことがない。正確には、爺さんにあの言葉を言われてから、だが。両親はオレをいつも正しい方へ導いてくれた。道を踏み外さないように、オレが常に「正義」であるように。オレはそれに従った。なぜなら、2人は正しいから。偉いから。爺さんの言葉は正しかった。だってオレは、今、何も感じず、何も想わないから。怒りも悲しみも喜びも、ない。ただ目前の「それ」を待つだけだった。