あのとき言えなかった気持ち
今も抱えた思い
飲み込んだ言葉
誰にも見せないと誓った涙
白くなるほど握りつぶした拳
ぜんぶ、全部。
沈めたんだ。
《海の底》
急いで仕事を終わらせて足取り軽く帰ってきたよ
いつもよりちょっと軽めの夕飯を食べておくんだ
部屋はまだ少し散らかってるけど掃除はしたし
お風呂上がりの仕上げにボディクリーム塗って
爪先までキラキラにして
おやすみ、明日楽しみにしてるねってちょっとすました文を送って画面の日付が変わって口元が緩んでしまう
最後まで洋服たちの山とにらめっこして待ち合わせの駅まで走って
ほんの少し手前で、髪を整えて一番かわいい私になっておく。
会いたい気持ちがずっとずっと止まらないんだよ
はやく私を見つけて、名前を呼んでよ
何ヵ月ぶりかの君と手を繋ぎたいんだよ
《君に会いたくて》
ああ今日も終わらない
ずっと始まったままだ
この世界は
6年前の話4年前の話1年前の話
言われて嫌だったことはこびりついて残ってるのに
嬉しかったことや優しかったことはおぼろげで
自分が何を大事にするべきなのかわからなくなるときがある。
いいや、もうずっとわからなくなってるのかもしれない。
もうこの感覚は無くならないんだなと思ってる
もう戻らないんだなと思ってる
ずっと変わらずあのままでいたかった。
毎日自分に問いてる言葉がある。
私はそれを毎日毎日見て見ぬふりをする。
答えなんて持っていないし考えたくもない。
けれどその言葉は誰なのかわからぬ声で
ふと外で歩いてるとき
眠ろうと目を閉じたとき
料理を作っているとき
文字を追っているときでさえ
同じ声色、言葉で問いかけてくる。
ああ今日もだ。
聞かない、聞こえないふりをする。
「 」外の騒がしささえもかき消し
「 」布団のなかでは余計に響き
「 」目の前のキャベツの青々しさに吐き気を覚え
「 」文章の意味さえ理解できなくなっていく
必死に聞こえないふりをするんだ
なにも、なにも聞こえないよ
はやく過ぎ去れ、終われ、終わってくれ