部屋の片隅で
部屋の片隅で両膝を抱え、蹲る
リビングから聞こえる両親の怒鳴り声に耳を塞ぎたくなる
(早く終わってくれ…)
そう願うしか出来ない無力な自分
そんな自分を包み込む暖かい体温に思わず身体を硬直させた
「もう大丈夫
安心しなさい」
優しい声に顔をあげると優しく笑う老婆がいた
「ばあ…ちゃん…」
「よく我慢したね」
頭を撫でてくれたばあちゃんに泣きながら抱き着いた
「お前は偉いよ」
そう言って抱きしめてくれるばあちゃんの温かさに余計に涙が止まらなかった
逆さま
「真っ逆さまだね
まぁ、これは自業自得だけど…」
興味なさげに言う彼に寒気がした
前カノとの話なのに何故か自分が言われているようで…
内容が内容だったが、彼はいつもの笑顔で「何食べる?」なんてスマホ画面を見せて来る
彼に合わせて「えっと…」と画面を見ながら食べたいものを選ぶ
彼は自分の中でボーダーラインがあり、それを下回ると興味も関心も一切なくなるタイプだ
それがわかった出来事であり、自分も同じ鉄を踏まないように気を付けようと思った出来事でもあった
眠れないほど
眠れないほど考え込むこの性格をどうにかしたいと思う
思うが、それを実行出来ないのが元よりの性格だと諦め始めた
「夜が明けた…」
遮光カーテンから朝日が溢れている事に気が付き、今夜も寝れなかった…とため息をついた
流石に仕事に影響が出始めて来たし、心療内科に受診しようかと思いつつ朝の支度を始めた
夢と現実
「おかーさん…僕…ね…
今年の…クリスマス会…できる…?」
呼吸器を付けた息子の小さな夢
「できるよ…」
笑顔で答える
彼は私の答えに力無く微笑んだ
彼の小さな夢、それを叶えられるかは神のみぞ知る
距離
「はぁ、今日も疲れたー」
手洗いうがいだけ済ませ、ベッドにダイブする
母親が見ていれば「行儀が悪い!」と怒られるだろうが、ここは一人暮らしの部屋で自分以外は誰もいない
「なーにが「先輩は暇ですよね?」だ!
失礼な後輩!」
そう思うよね!と同意を求めたのは推しぬい
もちろん返答が返ってくる事はないがそれでもいいと思っている
むしろ返答があったら怖い…
「はぁ、やっぱり3次元はめんどくさいよ…」
推しぬいを抱き締め、ため息をつく
さて、と気持ちを入れ替えると推しぬいを定位置に戻して部屋着に着替える
人との距離感の取り方がわからない私の心の支えである推し
今日も疲れを癒して貰うために推し活をする